富山県議会 2022-11-28
令和4年決算特別委員会 開催日: 2022-11-28
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 1 付託案件の総括質疑
(1) 質疑・応答
山崎委員
・安全・安心について
・
中小企業支援について
・移住・
交流促進事業の見える化について
・
デジタル化関係事業の効果検証について
亀山委員
・地域の活性化等について
・安全・安心な
地域づくり等について
井加田委員
・県の財政状況について
・新田知事の任期の折り返し、中間評価について
・コロナ対策の執行状況について
・学校現場の支援強化の現状について
火爪委員
・
新型コロナ感染症対策について
・
PFI導入可能性調査について
・
温室効果ガスの排出抑制について
・少人数学級の拡大と教員の確保について
・医薬品製造の取組み等について
吉田委員
・こども食堂の設置拡充について
・
母子保健施策の推進について
・eスポーツを活用した
介護予防施策について
・収益性の高い園芸産地の育成について
・
氷見栽培漁業センターについて
・建材CLTの利用促進について
・いじめ・不登校対策について
・自殺対策について
奥野委員
・県発注業務について
五十嵐委員長 それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。
山崎委員、あなたの持ち時間は40分であります。
2 山崎委員
トップバッターを仰せつかりました山崎であります。よろしくお願いいたします。着座にて失礼いたします。
最初に、安全・安心について4問質問させていただきます。
射水市の大
規模漏水事故では、企業活動や周辺地域に大きな影響を及ぼしました。今後の被害を防ぐため、危険箇所等の把握と対策を急ぐ必要があります。
工業用水道事業の令和3年度決算では、約5億3,000万円の純利益が生じており、これらを活用して管路の
老朽化対策を加速化する必要があると考えます。同事業の経営状況及び対策の進捗状況を踏まえ、今後どう取り組むのか、
今井企業局長に伺います。
3
今井企業局長 まず、射水市の
西部工業用水道で発生いたしました漏水につきましては、現在も鋭意復旧作業を行っておりますが、受水企業をはじめ関係の皆様には、大変御不便、御迷惑をおかけしておりまして、深くおわびを申し上げます。
委員から御指摘いただきましたように、
老朽化対策を大幅に強化する必要があると考えておりまして、お話のありました
工業用水道事業会計の毎年の純利益を積み立てました
建設改良積立金ですとか、低利の企業債も活用しながら、計画的に取り組んでいくこととしております。
具体的に申し上げますと、まずは今年度、管路の更新計画を見直しまして、毎年の投資額をこれまでの約2倍の14億円に増額いたしまして、
優先更新区間の整備の前倒しを図っております。
また、万が一漏水が発生したような場合にも、産業活動を極力止めない、断水しないなど全体の供給機能が維持できるように、
工業用水供給システム全体の冗長性を飛躍的に高めるためのバイパス管の整備を検討するほか、既存管の急激な水圧変化を吸収するための
排水ドレーンの開放ですとか、制水弁の増設、それから、緊急的に損傷の拡大を防ぐ鋼製カバーの事前製作などにも取り組んでおります。
さらにAIやIoTなどの最新の技術を活用いたしまして、管路の異常を早期に検知するシステムを本格運用いたしますほか、土壌の腐食性や交通量などから管路の劣化度を評価して、今後の更新計画に反映していくなど、幅広い対策を進めていくこととしております。
こうした対策を早急に進めまして、事業者の皆様が安心して経済活動を営むことができるように、一層努力をしてまいりたいと思っております。
4 山崎委員 よろしくお願いします。
続きまして、自然災害が頻発、激甚化する中、大雨や土砂災害等に備えた防災・減災対策やインフラの
老朽化対策を加速化するため、国予算を活用した集中的な取組が求められます。国の防災・減災、
国土強靱化のための5か年
加速化対策の予算は、前倒しで執行されているため、今後積極的に増額を働きかける必要があります。
令和3年度における取組を踏まえ、今後どのように対応していくのか、
市井土木部長に伺います。
5
市井土木部長 現在、県では、国の防災・減災、
国土強靱化のための5か年
加速化対策の予算を積極的に活用し、令和の
公共インフラ・ニューディール政策として、防災・減災対策やインフラの
老朽化対策などに取り組んでいます。
令和3年度では、河川の改修やしゅんせつ・伐木など治水対策で42か所、
緊急輸送道路等の災害に強い道路の整備などで73か所、ため池整備など農村地域の防災・減災対策で35か所など、全体で277か所で事業を実施しております。このうち23か所が令和3年度までに完成するなど、事業の進捗を図ったところでございます。
一方で、令和3年度末時点での県管理河川の整備率は約57%、
土砂災害危険箇所の整備も約35%にとどまっており、また、今年8月の大雨では、富山市や高岡市の市街地の浸水被害をはじめ、県内各地で大きな被害が発生したところです。
このため、県としては、県土強靱化に必要な社会資本の整備を計画的に進め、必要な予算の国による安定的・継続的な確保が必要と考えており、今年度も国に対し、県の重要要望、
北陸地方整備局との意見交換の場等において、また、知事から
国土交通本省へ要望するなど、働きかけを行ってきたところでございます。
今後とも、5か年
加速化対策予算を最大限活用し、
社会資本整備を進めるとともに、
国土強靱化のための十分な予算確保が図られるよう、国会や県議会の先生方のお力添えをいただきながら、災害に強い安全・安心な県土の実現に向けて取り組んでまいります。
6 山崎委員 続いて、空き家対策です。
空き家は、毎日目に触れる人も多く、県民の関心が高い課題であります。今後も増加が懸念されますが、空き家の発生を未然に防ぐとともに、危険な空き家の撤去や流通、利活用を一層進める必要があります。
国、市町村と連携した空き家撤去に対する支援の充実が求められます。空き家の現状と令和3年度における取組実績を踏まえ、今後どのように対策を講じるのか、
市井土木部長に伺います。
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市井土木部長 総務省の平成30年住宅・
土地統計調査によると、本県の空き家数は6万戸で、平成25年の前回調査よりも約3,800戸増加しており、人口減少の進行等を踏まえると、今後さらに増加していくことが懸念されるところでございます。
県では、こうした状況を踏まえ、昨年度の取組として、空き家発生の未然防止を呼びかける上市町など5市町の
普及啓発セミナーへの支援、富山県
宅地建物取引業協会による41回の
空き家相談会等への支援を行ったほか、射水市内の空き家を活用した
移住者向け賃貸住宅への改修に対する支援を行いました。
一方、空き家の撤去については、国の支援制度を活用した市町村の代執行による撤去が10棟、所有者による撤去が55棟と、いずれも過去最高でございました。
また、今年度は、
空き家利活用のための
改修支援制度を拡充し、まず新しい住まい方・働き方に対応する多
拠点居住用住宅、
コワーキング施設などへの改修や、次に、県外からの移住者の居住用住宅とするための伝統家屋の改修も新たに補助対象とする見直しを行い、11月現在、4つの市町において7件の御活用をいただいているところでございます。
さらに市町村からは、
空き家対策官民連絡協議会の場において、空き家の解体費用が物価高騰により上昇しているという声も伺っており、今後とも、空き家の撤去や利活用が進むよう国や市町村と連携し取り組んでまいります。
8 山崎委員 よろしくお願いします。
続きまして、昨年度発生しました
障害者施設における大
規模クラスターでは、利用者が施設外で感染し、その情報が早期に入手できなかったことで、感染が広がったと聞いています。
障害者施設は、通所利用や利用者の一時帰宅、就労先との往復など、利用者の施設外での感染リスクが高い事情があり、感染者の施設への入館を防ぐための早期の情報共有が感染防止に有効と考えます。
感染が発生した外部施設の感染情報を、
障害者施設に対して速やかに情報共有する体制づくりが重要と考えますが、
有賀厚生部長に伺います。
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有賀厚生部長 新型コロナに関しては、感染力が強い
オミクロン株が主流となって以降、保健医療を
重症化リスクの高い方に重点化する方針が国から示され、本県でも発生届や健康観察などについて、
重症化リスクの高い方へ重点化する対応をとっております。発生届の対象者が限定されたことに伴い、感染経路やクラスターの調査については、
高齢者施設や
障害者施設、医療機関などの
ハイリスク施設に限定して実施しており、その他の施設については、原則把握はしていないところでございます。
ハイリスク施設での
クラスター発生が入院者数の増加などにもつながることから、従前から
高齢者施設や
障害者施設に対し、
感染拡大防止目的で検査キットを配布してきております。さらに今月中旬から、希望する施設に対しては、従事者の週2回の定期検査や新規入所時の検査を実施できるよう検査キットの配布を行っております。
また、
障害者施設については、委員御指摘のとおり、施設外での感染リスクがあることから、感染発生時には、関係者間で迅速に連携が取れる体制を日常的に整えることが重要であると考えます。
障害者施設におかれては、検査キットの活用に加え、こうした取組により施設内での
感染拡大防止に御協力いただきたいと考えております。
10 山崎委員 ぜひよろしくお願いいたします。
続きまして、
中小企業支援について2問伺います。
令和3年度に創設されました
ビヨンドコロナ応援資金については、新型コロナの打撃を受ける中小企業の事業継続や経営改善に寄与してきましたが、現在、実質無利子・無担保融資の返済が本格化する中、貸し渋りも起きていると聞きます。社会の安定のため、雇用確保の面からも、しっかりと経営を下支えする必要があります。
令和3年度の融資実績や今後の資金需要を踏まえ、今後どのように対応していくのか、
中谷商工労働部長に伺います。
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中谷商工労働部長 厳しい経営環境の中、
県内中小企業者の事業継続、雇用確保のために、経営改善を含めた
資金繰り支援が一層重要になっていると認識しておりまして、金融機関の伴走支援を要件とし、借換え需要にも対応しました県補助による
信用保証料無料の
ビヨンドコロナ応援資金は、重要な役割を果たしていると考えております。
令和3年度の県制度融資の
新規融資実績は全体で2,198件、約266億円ですが、そのうち約8割の約222億円を同資金が占めております。また、今年度につきましては、10月末で全体が1,968件、約252億円で、うち9割の約225億円を同資金が占め、既に昨年度を上回っている利用になっております。
このため、今年度9月補正予算におきまして、同資金の融資枠、当初は200億円だったのですが、これを260億円拡充し、460億円としております。また、8月に新田知事が県銀行協会に出向きまして、円滑な資金供給や経営改善への支援をお願いしております。
また、金融機関や
信用保証協会におきましても、ゼロゼロ融資の返済開始に備えまして、戸別訪問や支援策の活用等、経営改善の支援に注力されております。中には、コロナ前の負債を背景にして、債務過多のまま収益が改善せずに借入れが難しくなっている場合もあります。収益改善に向けた助言を行うなど、事業者に寄り添った伴走支援に取り組んでおられると伺っております。
10月28日発表の国の経済対策におきまして、今ゼロゼロ融資の返済に備えて、信用保証の対象拡充が打ち出されていることも踏まえまして、国・県、
信用保証協会、金融機関、商工団体等の
中小企業支援機関と密接に連携をし、適時適切な
資金繰り支援に万全を期してまいります。
12 山崎委員 資金が行き渡るように、よろしくお願いをいたします。
コロナ禍における雇用維持等を目的といたしまして、昨年度から実施している国の
産業雇用安定助成金への県独自の上乗せ支援の成果や、雇用情勢を踏まえるとともに、
雇用調整助成金の特例も今後、段階的に終了することから、今後どのように雇用確保策を講じていくのか、
中谷商工労働部長に伺います。
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中谷商工労働部長 県としましては、コロナ禍における雇用維持を目的として、国の
産業雇用安定助成金に上乗せ補助を行います
在籍型出向支援補助金を、昨年6月の補正予算で創設し、労働局と一体となって、県内企業の在籍型出向への取組支援に取り組んでまいりました。
県内における制度の利用状況につきましては、令和3年度、国の助成金が65件、約9,000万円、県の補助金については26件、約740万円の申請があったところでありまして、令和4年度においても引き続き活用促進を図っております。
今、委員から御指摘がありましたように、
雇用調整助成金による雇用維持策については、雇用情勢を見極めながら段階的に縮小されているところであります。コロナ禍における特別措置も、12月以降、経過措置を設けつつ終了するということになっております。
その一方で、
産業雇用安定助成金につきましては、雇用維持だけでなく、人材が不足する成長分野への労働移動を促進する観点から、本年10月以降、支給期間の延長等の拡充が行われております。さらに、国の2次補正予算案におきましては、労働者の
スキルアップを在籍型出向により行う企業への新たな支援コースが創設される予定でございます。
このような中、県といたしましては、足元の雇用維持に引き続き注意をしながらも、
ポストコロナを見据えてDX等の生産性向上に取り組む企業や、成長分野における人材不足への対応を念頭に、県内企業における在籍型出向の活用も含めました
人材確保育成の取組について、国と一体となってその支援に取り組んでまいります。
14 山崎委員 安定雇用に向けて、よろしくお願いいたします。
続きまして、移住・
交流促進事業の見える化について、お伺いをいたします。
移住・
交流促進事業については、「くらしたい国、富山」推進本部を実施主体として予算が一括計上されておりまして、個々の事業の成果や費用対効果が分かりにくいため、事業ごとの進捗管理や検証、事業体系の見直しなどを通じて、見える化を進める必要があると考えます。
関係人口拡大を図る上で重要かつ関心が高い政策である一方、成果が見えにくくなっていると思いますが、新田知事に伺います。
15 新田知事 先週の土曜日にも、SCOP TOYAMAにおきまして、県外から移住してこられた方々、20人ぐらいでしたかね──との交流会で、富山に移住される決め手は何だったかと、あるいは実際に移住してみて、思いと違ったところはないかとか、何が富山で好きになったか、そんなことをいろいろとお聞きをして、今後に生かそうと思っていますが、移住の促進を進めるために「くらしたい国、富山」
推進本部会議を設置しておりまして、市町村、関係団体と移住促進に努めてまいりました。
その結果、昨年度の富山県、市町村の相談窓口を通した本県への移住者数は、過去最高の823名となりました。今月の初旬に開催した
推進本部会議においても、こうした成果やターゲットに応じた戦略的な事業展開について、御評価をいただきました。
一方で、議員御指摘のように、
ホームページなどでの発信情報は、イベントの告知が主で、事業ごとの進捗管理や事業体系について情報が不足していると。事業に関わる人同士でも、これらの方向性の情報共有ができるように見える化が必要で、そうすることで、より効果的に事業を展開できるなどの御意見をいただきました。
このため、先般、「くらしたい国、富山」推進本部の
ホームページに、本県の現状と今後のステップ、事業体系とともに、これらを推進する事業の進捗状況や実績についても掲載をしました。また、事業の
決算関係資料についても、今後、事業ごとの費用や成果を明確に記載するなどの改善を続けていきたいと考えています。
これからも、関係人口の創出を含みます移住・交流促進の取組に当たっては、市町村や関係団体などと一層連携を深めて進めて、事業の進捗や実績を分かりやすくお示しするように努めてまいります。
また、
推進本部会議での個々の事業検証に加えて、
地方創生関係の事業全般についてPDCAを行う、とやま
未来創造県民会議の場なども活用して、結果の検証を行い、より効率的、効果的な事業運営に努めてまいります。
16 山崎委員 せっかくの取組でございますので、皆さんに分かりやすいようにしていただければと思います。
続きましては、
デジタル化関係事業の検証について、2問伺います。
中山間地域の発展、振興には、
デジタル技術の利活用は欠かせないツールとなっております。ドローン物流の実証実験や、ローカル5Gを活用した
鳥獣被害対策事業が実施されましたが、設備が整わないために、期待されている成果につながっていないとの声も聞かれます。
事業成果や課題を踏まえ、今後どのように
デジタル技術を活用していくのか、
南里地方創生局長に伺います。
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南里地方創生局長 人口減少や高齢化が著しい中山間地域において、
デジタル技術を活用し、地域課題の解決や利便性の向上を図ることは重要だと考えております。
本年9月、
成長戦略会議の特別委員である安宅和人氏の「風の谷」フォーラムの講演では、
テクノロジーの力を十分使うことで、自然と共に人間らしく豊かな暮らしを実現する「風の谷」構想について、富山では実現可能ではないかというお話もいただいたところでもございます。
県では、市町村や事業者の協力も得ながら、ドローンを活用した配送の実証実験や、ローカル5Gとドローンによる有害鳥獣の追い払いシステムの検証などに取り組んでおりまして、ドローンによる物流では、配送の速達性や機動性が優れているということ。有害鳥獣の追い払いシステムでは、その種類や位置を正確、迅速に把握し、効果的な対応ができることなどが実証されまして、省力化や無人化といった効率性のみならず、
デジタル技術の活用は、迅速性や確実性も期待できるということが示唆されたところでございます。
特にドローン飛行は、中山間地域の有利性を生かして取り組むことができた、まさに
テクノロジーの力で、自然と共に豊かな暮らしを実現する実証実験だと捉えているところでございます。
ただ一方で、御指摘もございましたが、現時点のドローン技術では、電波環境の充実や安全管理に係る規制の緩和など、社会実装に向けての課題も見受けられるところでございまして、中山間地域における
生活必需サービスの維持に向けては、トラックなど既存の
物流システム、
デジタル技術を活用した効率化など、様々な角度から事業者等と検討する必要もあると考えているところでございます。
今後とも、市町村や関係部局とも連携しまして、
デジタル技術を活用した中山間地域における課題解決等に努めてまいります。
18 山崎委員 期待の大きいところでございますので、結果が分かるように、また、取り組んでいただければと思います。
続きまして、最後の質問になります。
DX・働き方
改革推進本部が設置され、
情報システムの再構築などの県庁のデジタル化が進められていますが、その効果が分かりにくい状況にあります。
費用対効果、コスト削減、生産性向上や達成状況等を分かりやすく開示していく必要があると思いますが、三
牧知事政策局長に伺います。
19 三
牧知事政策局長 情報システムの導入経費につきましては、非常に高額かつ複数年にわたる場合も多いことですから、県民に対して、費用対効果やその達成状況を分かりやすく開示することが非常に重要であると考えております。
現状におきましても、
システム導入による効率化の高い業務については、その効果を算出して費用対効果を計算しております。分かりやすいところですと、AIの
議事録作成支援システムで、一般的に議事録作成にかかる時間に人件費を掛けて計算したり、今回補正予算に計上させていただいております
グループウェアにつきましても、メール操作とか
スケジュール管理とか、オンライン会議の移動時間とか、そうしたものを積み上げて計算しているところでございます。
ただ一方、
情報システムの導入につきましては、幅広い業務に効率化をもたらすことから、その効果の全てを精緻に示すことというのは、なかなかちょっと難しい場合もあるのかなと考えております。そのため、可能な限りの費用対効果につきましては開示しつつ、
情報システムの導入による効果を可能な限りまず高めていくと。そのために、働き方改革や業務効率化によって、県職員の業務について現場主義、現場に出ることや県民目線、県民のニーズを酌み取ること、そうした
情報システムの利便性をより生かす形に見直していくことも重要であると考えております。
また、コストのほうを下げる。導入費用の低減に向けましては、現状でも調達審査委員会で、特定事業者のみが応札可能な仕様書とならないよう、発注前に仕様の詳細な点検を行っているほか、発注に当たっては、原則、公募型プロポーザル方式や一般競争入札とするなど、公平性、競争性の確保に努めておりまして、ベンダーロックイン等による費用の高止まりをできる限り防いでいるところでございます。
今後は、さらに民間の企業の方と交流するといいますか、意見交換して、民間の調達の視点等も盛り込んでいければと考えております。こうした取組を通して、費用対効果を意識したデジタル化を実現していきたいと考えておりますし、達成状況につきましては、先ほどお話のありましたDX・働き方
改革推進本部で進捗管理をしておりますアクションプランの中で、しっかりと公表していきたいと考えております。
20 山崎委員 ありがとうございました。
県民がここまで進んだということが実感できるように、また、対応をお願いしたいと思います。
以上で質問を終わります。
21
五十嵐委員長 山崎委員の質疑は以上で終了しました。
亀山委員、あなたの持ち時間は40分であります。
22 亀山委員 自民党新令和会の亀山です。よろしくお願いいたします。着座にて質問をさせていただきます。
すがすがしい気候で、室内での委員会はもったいないような気がして、青空委員会もあってもいいんじゃないかなと、そういうふうに考える次第であります。
第1問目です。地域の活性化などについて質問をいたします。
議員なら誰もが一度は足を運んでいるのではないかと思える日本橋とやま館が2016年6月に開館し、半年で来館20万人を達成、それから、3年4か月後の2019年10月末で100万人を達成しました。有楽町店──いきいき富山館のことですけれども、との相乗効果もあり、来館者数を伸ばしてきましたが、その後コロナ禍の影響もあるのか、令和3年は18万9,000人、来館200万人達成の声を聞かない状況です。
これまで同館が果たしてきた役割と開館による効果について、どう分析しているのか、
南里地方創生局長にお伺いいたします。
23
南里地方創生局長 日本橋とやま館に足をお運びいただきまして、皆様、ありがとうございます。日本橋とやま館は、富山のウエルビーイングの高い上質なライフスタイルの提供ということをコンセプトに、本県の豊かで美しい自然、多彩な文化、食の魅力などを伝えまして、本県と首都圏をつなぐ交流の場として、また、本県への誘客、移住につなげる場として、魅力の発信、富山のイメージの向上、首都圏におけるネットワーク拡大といった役割も担ってまいりました。
コロナ禍に突入した影響で、令和2年度は来館者数、売上げともに、前年比約6割に大きく落ち込みましたけれども、その間も築いてきたネットワークを生かしまして、国内トップクラスの料理教室ネットワークを生かした富山ファン拡大の取組や、館内のレストランと富山をオンラインで結び、旬の料理を頂く新たな体験イベント、県内事業者と首都圏バイヤーを結ぶ販路開拓サポートネットの設置などB to B、B to Cの両面で活動の幅を広げてまいりました。
こうした取組によりまして、昨年11月以降からは回復傾向にございまして、館全体の売上げは、ほぼコロナ前の水準に戻ってまいりました。一方で、御指摘もありましたけれども、来館者数ということでいいますと、依然として約8割程度の回復にとどまっているということもございまして、情報発信拠点としては課題と認識しているところでございます。
今後は、感染状況にも注意しながら、和食レストラン、バー、交流スペースも生かした体験型のイベントですとか、日本政府観光局「JNTO認定外国人観光案内所」のカテゴリー2ということで、英語対応可能なスタッフが常駐しております観光交流サロンも生かしまして、インバウンドも含めた国内外の富山の新規ファンを獲得する取組を積極的に行いまして、日本橋とやま館の役割をしっかりと果たしてまいりたいと思います。
24 亀山委員 ありがとうございます。
東京オリ・パラの開催によって改修工事がされて、盛り上がってきているのではないかなと思っております。後でまた質問しますので、よろしくお願いいたします。
2番目、公共交通活性化総合対策事業費補助金により、市町村などや交通事業者が行う公共交通活性化計画の策定に必要な取組など、幅広い内容について補助を行っていますが、このうち、令和3年度の乗りたくなる公共交通推進事業により、どのような内容に対して支援し、どういった効果が上がっていると分析しているのか、田中交通政策局長にお伺いいたします。
25 田中交通政策局長 乗りたくなる公共交通推進事業の令和3年度実績につきましては、バスや路面電車の車両のイメージアップを目的としましたラッピングや、車内アナウンスの制作など、市町村や交通事業者が行う公共交通のイメージアップにつながる取組7件に対して支援を行いました。
内容については、公営バスの車体に市のイメージキャラクターや、小学生が描いたバスの絵、地域の特産物のデザインなどをラッピングしたものが4件、冬季の間、路面電車に沿線の高校生が考案したデザインのラッピングを施したものが1件、県出身で、人気アニメに出演されている声優さんなどによる路面電車の車内アナウンスの制作が2件となっております。
効果につきましては、支援を行いました市町村等からは、公営バスの車体ラッピングは、バスに対して親しみや興味を持ってもらい、ふだん利用しない方の利用促進につながることを期待していると。路面電車のラッピングについては、寒い時期に温かい気持ちで乗車でき、利用者からも好評であり、また、マスコミにも取り上げられ、公共交通のPRもできた。また、声優による車内アナウンスは、声優が出演されたラジオ番組でも取組を話題にされ、路面電車の利用が増加したとの報告も受けており、公共交通の利用促進に結びついているものと考えております。
26 亀山委員 ありがとうございます。
今、7件ということで説明いただきました。
次の質問につながるものですから、引き続きお願いします。
SDGsにつながる公共交通利用の活性化に向けては、イメージアップにつながる取組を幅広く支援していく必要があると考えます。
「RAILWAYS」の映画の影響もあり、富山地方鉄道立山線には、写真は上滝線ではないかなと思いますけれども、通称だいこん電車と呼ばれる車両を写真に収めるため、多くの愛好家が足を運んでいます。車両をレトロ感覚あふれる古い塗装へ復元するなどの取組も、イメージアップにつながると考えます。
公共交通のイメージアップにつながる取組への支援について、今後どのように取り組むのか、田中交通政策局長にお伺いいたします。
27 田中交通政策局長 公共交通のイメージアップは、利用促進に結びつくものと考えておりまして、とりわけ車両は、その効果が大きいと認識しております。
このため、県では、富山地方鉄道がJR九州のななつ星のデザインを手がけて話題となったデザイナーを起用し、内装等を一新したアルプスエキスプレス、また、市内電車のレトロ電車の導入に支援を行っております。また、2階建て車両のダブルデッカーエキスプレスや、最近では、西武鉄道のニューレッドアローの車両の導入に対しても、沿線市町村と共に支援を行い、バラエティーに富んだ車両が運行されております。
このため、電鉄富山駅では、車両の撮影を目的にカメラを構えている姿がよく見かけられ、公共交通のイメージアップにつながっているものと考えております。
また、このほかにも、あいの風とやま鉄道の一万三千尺物語や、万葉線のドラえもんトラムなど、いろいろな列車の運行が本県では行われていることから、鉄軌道王国とやまとして、富山県ならではの豊富な鉄軌道の魅力を
ホームページを活用し、発信しております。
今後も交通事業者や市町村と連携を図りながら、公共交通のイメージアップにつながる取組の推進に努めてまいります。
28 亀山委員 ありがとうございます。
私も、本当に乗る人が1人でも多く増えることを望んでおります。
4番目です。若い世代にとっては、大変便利なとやまロケーションシステムではありますが、御高齢者をはじめとしたスマホへの苦手意識のある方には、利用しづらいように見受けられます。
そのような方々に利用を促進していく必要があると考えますが、どう取り組んでいかれるのか、田中交通政策局長にお伺いいたします。
29 田中交通政策局長 とやまロケーションシステムは、運用開始以来、利用者からの御意見も参考に改善に努めまして、今年3月に富山市内の路面電車の情報を追加し、来月からは万葉線の情報を新たに追加いたします。
また、より多くの方に利用いただくため、とやまロケーションシステムの情報をオープンデータ化しておりまして、ITを活用した移動支援サービスであるMaaSアプリにも活用されております。
今年1月に、新たなモビリティーサービスの創出、普及に向けた連携協定を県と締結しました富山県トヨタグループが加わっております富山my route推進協議会では、イベント開催時に、MaaSアプリ普及のためのブースを出展しております。そこでは、とやまロケーションシステムとデータ連携しましたMaaSアプリmy routeのダウンロードや、利活用の方法を来場者に丁寧に説明するなど、高齢者を含む県民の利用促進に取り組んでいるところでございます。こうした取組の結果、my routeの県内でのダウンロード数は増加しております。
今後とも、とやまロケーションシステムをより多くの方に利用いただけますよう、富山my route推進協議会や市町村とも連携して、取り組んでまいります。
30 亀山委員 ありがとうございます。
少しでも、要するに待ち時間というかね、短縮できればいいかなと思っております。
それでは、5番目に移りますが、交通政策局長には、後でまたよろしくお願いします。
インバウンドの激減、人流の減少、コロナ禍における観光事業者への支援として、令和3年度は、地元で愉しもう!とやま観光キャンペーンなどを実施し、需要喚起を図ってきましたが、その効果をどう分析し、マイクロツーリズムから拡大し、先月末から全国旅行支援が開始され、それに併せて県独自の上乗せ支援も実施している中、先週ですけれども、斉藤国土交通相は、国内観光の需要喚起策、全国旅行支援を割引率を縮小した上で、年明け以降も延長する意向を表明されました。
アフターコロナの観光振興に向けてどう取り組むのか、新田知事にお伺いいたします。
31 新田知事 本県では、新型コロナの影響で厳しい状況が長く続いている観光・宿泊事業者を応援するために、令和3年5月から実施しております地元で愉しもう!とやま観光キャンペーン、いわゆる県民割、これで県内観光需要の喚起をずっと図ってまいりました。
その結果、富山県の延べ宿泊者数は、日本人に限っての話ですが、前年、令和2年比でプラス9.5%、伸び率では全国5位となりました。観光関係の経済波及効果としては、県民割の利用実績などを基に一定の条件で推計しますと、約143.5億円となっています。これは、本県が感染対策と社会経済活動の両立を目指して、県民割を他県と比べて継続的に実施したことにより、多くの県民の皆様に御利用いただいた結果であり、観光需要の下支えにつながったものと考えております。
この経済効果に加えて、県民割は、多くの県民の皆様に改めて地元の魅力を再発見、そして発信をしていただく機会にもなり、これらは、コロナ禍で厳しい環境にあった観光事業者への励ましにもなったと考えます。
また、日帰り旅行割引では、県内の着地型旅行商品が充実したほか、特産品プレゼントキャンペーンでは、酒蔵などの特産品事業者の需要の確保、また、富山の特産品のファンづくりにもつながるなど、全国旅行支援開始まで、言わば空気を温めるといいますか、環境整備につながったとも思っております。
10月からは、全国旅行支援が始まり、また、水際対策も緩和されたところです。旅行需要を取り込むべく、観光物産PRと連動した地域ごとの割引上乗せ支援、また、ロンドンでの観光PRも行ってきたところですが、積極的に誘客の促進を図っています。
引き続き、北陸新幹線の令和5年度末までの敦賀延伸を踏まえて、JRグループのデスティネーションキャンペーンも北陸3県を舞台に開催されます。ANA便の維持拡充、また、国際線の復便などなどいろいろな手を使いまして、引き続きアフターコロナでも、選ばれ続ける観光地となるように取り組んでまいります。
32 亀山委員 知事、ありがとうございます。
近隣県民も対象にしているということで、お願いしたいと思っております。
6番目です。サンドボックス予算を活用して、令和3年度に実施した本県への移住者等へのアンケート調査は、富山くらし・しごと支援センターそれぞれのオフィス及びふるさと回帰支援センターに移住相談された方を対象としたにもかかわらず、対象者数約2,000件──1,999件と書いてありましたけれども、回答数は320件と、あまりにも回答が少ないのではないでしょうか。
本県への移住を増やすためには、県として積極的に移住者同士の交流促進を図るとともに、その声をよく把握し、施策に生かしていく必要があると考えるが、どのように取り組んでいくのか、
南里地方創生局長にお伺いいたします。
33
南里地方創生局長 県では、移住いただいた方には、各種セミナーや相談会への参加、PRパンフレットなどへの体験談の掲載など、これまでも様々な御協力をいただくとともに、随時御意見いただきまして、移住促進の取組に生かしてきたところでございます。
御紹介いただきました昨年度のサンドボックス予算を活用しました過去に移住相談いただいた方を対象にしたアンケート調査でございますが、御指摘のとおり設問数が多かったことなどもございまして、回答率は高いとは言えない結果となりましたものの、移住後に地域住民や先輩移住者との交流の機会が少ない、などの課題が浮き彫りになるなどの成果はあったと考えております。
この結果を受けまして、今年度の新たな取組といたしまして、移住いただいた方々に、移住者同士や地域の方との交流する機会を提供しまして、移住後のフォローアップを行う移住者交流サロンを地域で開催することとしております。
一昨日、26日には、第3回目を富山市のSCOP TOYAMAを会場に開催しまして、先輩移住者の体験談の披露、移住者同士の情報交換に加えて、新田知事にもゲスト参加いただきまして、なぜ富山を選んだのかという声ですとか、住んでみて戸惑ったこと、教えてほしかったなというようなお声など、こういった生の声を聞かせていただいたところでございます。
御指摘のとおり、今後さらに本県への移住促進を図るためには、移住いただいた方々の生の声をお聞きし、本県情報の発信や、受入れ体制の整備に生かしていくことが肝要であると考えておりまして、引き続き様々な機会を通じまして、移住いただいた方々の御意見を十分に把握し、さらなる取組の充実につなげてまいります。
34 亀山委員 ありがとうございます。
こういう施策というか、体験を利用していただきまして、富山県の人口減少に少しでも歯止めがかかればいいかなと思っております。ありがとうございました。
1問目の7番目ということで、各市町村にとって、商店街の空洞化は喫緊の課題となっており、遊休資産──空き店舗、空き地などを活用し、店舗のみの総曲輪通りと違って、住宅兼店舗の居住者にも配慮しながら、にぎわい創出に向けて積極的に支援していくべきと考えます。
そこで、令和3年度に行ったがんばる商店街支援事業や、まちなか開業促進物件整備事業費による支援の状況と、その効果をどう分析しているのか、
中谷商工労働部長にお伺いいたします。
35
中谷商工労働部長 委員御紹介の2事業につきましては、県と市町村が共同し、商店街等の活性化やにぎわいの回復を支援するものでございますが、令和3年度におきましては、新型コロナの影響が大きかったことに加えまして、昨年度の9月補正予算で計上しました県の消費喚起プロジェクト支援事業費補助金の活用によりまして、各地域でプレミアム商品券の発行やイベント、このイベントにつきましては、21の商工会や商店街で補助総額5,224万円、こういった実績で取り組まれたところでございます。
こういったこともありまして、がんばる商店街支援事業の実績は1件、これは
ホームページの作成ですが、そういったもの。それから、まちなか開業促進物件整備事業については、申請がなかったところでございます。
一方、近年の実績を見ますと、がんばる商店街支援事業では、ショッピングセンターの設備改修、イルミネーションなどのイベントが実施され、集客増につながったという報告をいただいております。また、まちなか開業促進物件整備事業につきましては、平成30年度と令和2年度にそれぞれ1件ということで、まちなかのビルを改修いたしましたシェアオフィスの設備により、会員同士の交流や学びの拠点が生まれるといった事例が見られたところでございます。
こういったことから、まちなか開業促進物件整備事業につきましては、令和4年度におきまして、他部局の支援制度も含めて整理を行いまして、空き店舗、空き家の活用や、商店街を対象とする他の支援制度に移行するということにいたしております。新型コロナへの対応が新たな段階に入りまして、今後積極的な取組が期待されますことから、関係部局が連携して、市町村と共に商店街や地域の活性化に取り組んでまいります。
36 亀山委員 ありがとうございました。
どうしてもやっぱり大きいショッピングセンターへ行くと、全てがそろう。そういう感覚になってしまうものですから、空き店舗、空き家というのはどうしても増えていく。こういう事業で歯止めになればいいと思いますので、よろしくお願いいたします。
問2、次に、安全・安心な地域づくりなどについて伺います。
1番目、県内の鉄軌道の安全対策に係る支援について、さらなる充実が必要と考えるがどうでしょうか。
安全対策に対する支援は、実施主体により補助率が異なることから、事業者の負担割合に差がある状況です。例えば万葉線は事業者の負担割合がなく、これに対して、富山地方鉄道については事業者負担があるなど、支援に差があります。
県や市町村にも財政事情もありますが、過去には脱線事故も発生したことも踏まえ、安全対策の充実を積極的に支援していく必要があると考えます。田中交通政策局長にお伺いいたします。
37 田中交通政策局長 鉄軌道事業におきましては、安全の確保は最優先でありまして、県では、これまでも沿線市町村と共に支援を行ってきております。
先日開催しました県地域交通戦略会議の鉄軌道サービス部会では、地域鉄道に対する国の支援制度を基に、安全輸送の確保を含め現状を把握するとともに、意見交換を行いました。
出席委員からは、第三セクターと富山地方鉄道のような中小民鉄の間で支援や負担に差があることが分かり、今後の役割分担、責任分担を考える上で、その差をどう埋めていくかといった御意見ですとか、第三セクターと中小民鉄共に、安定的にサービスを提供できるようにすべきといった御意見をいただきました。
また、こうした部会の議論等の概要を報告しました第3回の富山県地域交通戦略会議では、地方鉄道は厳しい経営環境にあり、国への一層の支援の働きかけも必要だが、地元の県、市町村のさらなる関与が求められるとの御意見もいただいております。
地域交通戦略会議では、戦略における基本的方針、考え方として、自治体や地域住民の積極的関与、参画、事業者間の協調など関係者間の役割分担、責任分担について考え、地域全体で実現を目指すこととしておりまして、引き続き議論、検討を進めてまいります。
38 亀山委員 ありがとうございました。
市町村の体力ということもあります。利用者増につながればいいんですけれども、せめて県の負担割合、それだけでも統一できないかなと考えるところであります。よろしくお願いいたします。
次は、ちょっと個人的なことになるかもしれませんが、残念ながら先般、魚津市内のペットショップで飼育していた犬5匹を虐待していたとして、経営者が動物愛護法違反で逮捕されるという事案が発生しました。
県では、令和2年度末に動物愛護管理推進計画を策定したところであり、計画の目的である人と動物の共生する社会の実現に向けた取組を進める必要があると思いますが、計画初年度の令和3年度における犬猫の譲渡実績や、適切な飼養に向けた飼い主への啓発、動物取扱業者への指導などの実施状況と今後どう取り組むのか、
有賀厚生部長にお伺いいたします。
39
有賀厚生部長 令和3年度の実績についてですが、まず譲渡事業では、近年、ミルクボランティア等の御協力により譲渡率が上昇しており、5年前の平成29年度と比べると、譲渡率は犬が68%から97%、猫が37%から83%と大きく上昇し、昨年度は犬31頭、猫124頭を譲渡いたしました。これに伴い、殺処分数も5年前と比べ、犬が13頭から1頭へ、猫は170頭から26頭へと大きく減少しております。
次に、飼い主への啓発についてですが、コロナ禍ということもあり、動物愛護フェスティバルについては開催できなかったのですが、犬のしつけ方教室を開催したところ、計27組の参加があったほか、総合防災訓練や
ホームページ等で適正飼養についての啓発を行っております。
また、動物取扱業者への指導については、厚生センターや富山市保健所において、立入検査を延べ157施設に対して実施し、飼養管理基準への適合状況等について確認し、助言指導を行いました。さらに動物取扱責任者を対象とした研修会には、オンラインでの受講を含め288名の参加があり、動物愛護法の改正等について周知いたしました。
今後ともボランティアと連携を図りながら、犬猫の譲渡事業を推進するとともに、飼い主や動物取扱業者に対して、イベントや立入検査、研修会等を通じて、動物愛護の啓発や適正な飼育管理について指導を行うなど、県獣医師会や関係団体と連携し、人と動物の共生する社会の実現に向けて取り組んでまいります。
40 亀山委員 ありがとうございます。
やっぱり生まれてきた命ということで、しっかりというか、愛着を持って受け入れてもらいたいものであります。
3番目です。我が家では、昨年、令和3年度、家の前で保護した猫、捨て猫か迷い猫を新しい家族として迎え入れました。名前は「ジジ」ではありません。
そうした中、今年6月1日から、犬と猫のマイクロチップ情報登録がペットショップなどでは義務化されておりますが、ちなみに我が家の猫は、同制度が飼い主に対しては努力義務とされているので、まだ登録などはしていません。
この制度により飼い主にどのようなメリットがあり、その周知啓発にどのように取り組んでいくのか、
有賀厚生部長にお伺いいたします。
41
有賀厚生部長 動物愛護及び管理に関する法律の改正により、本年6月から、ブリーダーやペットショップで販売される犬と猫へのマイクロチップの装着と、飼い主情報の登録や変更が義務化されました。
このメリットですが、犬猫が迷子になった際には、皮膚の下に埋め込まれたマイクロチップの番号をリーダーで読み取ることで、指定登録機関に登録された情報から飼い主の特定が可能となり、犬猫が捨てられることへの抑止効果も期待されるほか、耐久性が高く脱落しないことから、大きな災害時や盗難などの事故の際には、安全で確実な所有者明示方法となります。
一方で、マイクロチップを装着しても、正しい情報を指定登録機関に登録していなければ、飼い主への返還は困難となることから、犬猫を譲り受けた場合や、飼い主が住所や電話番号を変更した場合には、変更登録を確実に行うことが必要となります。ぜひマイクロチップを埋めていただいて、しっかり登録していただきたいと思います。
県では、制度のメリットと正しい運用を周知するため、犬猫販売業者に対してリーフレットを送付するとともに、動物取扱責任者研修会や立入検査時にも周知しております。また、犬猫の飼い主に対しては、SNS等による発信や登録方法を解説した冊子の作成、配布も行っております。
今後ともマイクロチップが広く普及し、情報登録の必要性など正しく理解が進むよう、イベント時やSNSの活用等、様々な機会を通じて周知啓発に努めてまいります。
42 亀山委員 ありがとうございます。
なるべくというか、努めたいと思いますけれども、耳のところが、ちょっと切られるというか何かなると聞いているものですから、また努力します。
最後の質問に移りたいと思います。
防災危機管理センターが竣工しまして、防災に対して意識が高まる中、先日もマグニチュード4.2、震度3の地震が能登地方でありました。
こうした群発地震が発生する中、災害対策事業として、御嶽山噴火を教訓に、山小屋における噴石対策に支援をしているものの、対策を実施した山小屋はいまだ3軒にとどまっています。対策の促進に向けては、例えば証明書を発行し、対策実施済みであることを利用者にも分かりやすくするなど、安全性の高さをPRし、利用につなげるようにしていくことも必要ではないでしょうか。
対策を実施した山小屋が3軒にとどまっている要因をどう分析し、さらなる促進に向けてどう取り組んでいくのか、利川危機管理局長にお伺いいたします。
43 利川危機管理局長 県では、活火山であります弥陀ヶ原火山におきまして、噴火による噴石などから観光客や登山者などの安全を確保するため、民間の山小屋が行います屋根へのアラミド繊維の敷設などの噴石対策工事に対しまして、立山町と連携しまして、国の制度を活用して補助いたしております。
国の補助制度は、平成30年度から民間の山小屋も補助対象となったところでありまして、県では、積極的にこの制度を活用いたしまして、山小屋の意向に沿って、平成30年度から令和3年度までに3件、そして今年度の1件を加えまして、計4件の山小屋の噴石対策工事を支援してまいりました。
工事の実施に当たりましては、山小屋の自己負担もございますことから、資金面を含め、山小屋の事情にも配慮しながら事業を進める必要がございます。地獄谷からおおむね1.5キロ以内には、民間の山小屋が5軒ございますけれども、そのうち、鉄筋コンクリート造りである程度の強度を有すると見られる1軒を除いて、4軒で対策工事を実施するなど、おおむね順調に対策が進んできたと思っております。
県としましては、登山者などのさらなる安全確保のため、引き続き立山町とも十分に協議を行い、また、立山山荘協同組合とも連携し、山小屋の噴石対策工事を着実に進めていただけるよう積極的に支援してまいります。加えて、噴石対策工事を実施済みなど、安全性を確保した避難促進施設については、
ホームページや火山防災マップなどのリーフレットに掲載するなど、観光客や登山者などに周知できるよう工夫検討してまいります。
44 亀山委員 ありがとうございました。
本当にこうやってアピールすることによって、登山客が増えてくれれば、山に入り込み客が増えてくればいいと思っております。ありがとうございました。
終わります。
45
五十嵐委員長 亀山委員の質疑は以上で終了しました。
井加田委員、あなたの持ち時間は40分であります。
46 井加田委員 御苦労さまでございます。3番目の質問者は、立憲民主党・県民の会の井加田でございます。
県民目線、そして現場主義、その観点からスピード感にはやや欠けるかもしれませんけれども、早速質問に入らせていただきます。
まず初めに、県の財政状況についてお伺いをいたします。
コロナ禍の影響が続く中で、前年度の税収が大幅に減収となる中、国の経済対策を盛り込んだ補正予算と併せて編成をされました令和3年度の予算、コロナ禍における新田知事就任後、初の予算編成と位置づけられると思っております。
少子高齢化が急激に進む富山県におきましては、社会保障費の確保など、県の実情に沿った行政ニーズに応えられるよう必要な財源の確保が求められておりました。また、地域公共サービスを担う人材は不足し、疲弊する職場実態にある中で、引き続き新型コロナウイルス
感染拡大防止対策への対応、また、近年多発する大規模災害などへの対応も迫られていた現状にありました。
一方で、令和3年度末の県債残高は、前年度比68億円減の1兆1,942億円、北陸新幹線整備に係る県債残高も1,000億円を超えて推移をしており、依然として高止まり状態にあります。国に対しては、県の財政運営に必要な一般財源の確保に向けて、地方交付税の法定率の引上げなどの抜本的改善を求めるなど、県債の縮減に向けて、臨時財政対策債に頼らない、より自律的な県財政の確立が求められていると考えております。
そこで、令和3年度の県債の現状について、あわせて、県財政における県債残高の推移と今後の財政状況の見通しについて、岡本経営管理部長の見解をお伺いいたします。
47 岡本経営管理部長 委員お尋ねの県債残高は、北陸新幹線が開業した平成26年度末の1兆2,514億円をピークに減少傾向にあったものの、近年の防災・減災、
国土強靱化のための5か年
加速化対策の推進など、国の経済対策への対応等により、令和2年度末は1兆2,010億円、令和3年度末では、委員から御紹介がありましたように、1兆1,942億円となっており、横ばいに推移してきております。
県債残高のうち、地方交付税の代替財源であり、後年度に償還費の全額が交付税措置される臨時財政対策債を除きますと、県債残高は、令和3年度末で8,197億円となっております。また、新幹線整備に係るものについても、平成25年度末の1,440億円をピークに以降減少してきており、令和3年度末時点で1,031億円となっており、今後、令和30年度にかけて償還していく予定としております。今後も県債の新規発行の抑制等により、県債残高を適切に管理してまいりたいと考えております。
一方、今後の財政状況の見通しにつきましては、本年10月に、来年度予算の編成方針と併せて公表いたしました中期的な財政見通しにおいて、県債の償還や県が予定している各種事業を織り込んだ上で、令和5年度から令和7年度までの要調整額を毎年度20億円から27億円と試算したところでございます。
こうした状況を踏まえまして、歳出面では、令和4年度当初予算編成からシーリング方式に代わって実施している既存事業の抜本的見直し、再構築により必要な財源とマンパワーの捻出を図る一方、歳入面では、国交付金やふるさと納税等の新たな財源確保に努めつつ、地方一般財源総額の確保に向けた国への働きかけを継続していくこととしております。これらの取組を通じまして、引き続き持続可能な財政運営に努めてまいります。
48 井加田委員 御説明があったように、まだまだ硬直化した県財政の状況というのは、改善に向かいつつあるというふうに思っておりますけれども、地方交付税の抜本的な引上げ改善等も、やっぱり技術的な面では必要ではないかというふうに思います。引き続き、国への働きかけの強化に努めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
それでは次に、知事の任期の折り返し、中間評価についてお伺いしたいと思います。
知事は、県民目線、現場主義を徹底し、スピード感を持って施策を推進するとされておりまして、コロナ禍における県の各種施策においても、ウエルビーイングを施策の柱に据えてこられました。
知事公約であります富山八策、八十八の具体策について、令和3年度は、43事業、49%実現と公表されております。知事自らの県政を振り返り、そして、65点と自己採点をされているところであります。
私、地域の方から時々聞かれるのですけれども、知事の政治姿勢はどうやと。それから、どう評価するんだというようなことも、ちょっと聞くことがございます。必ずしも、公約の実現イコール県民の幸せには結びつかないですし、何より知事の政策が、県民の隅々まで浸透している段階とは、とてもまだ言えないのではないかなと思っておりまして、採点までには至らない。大変答えにくいというのが正直なところでございます。
知事が掲げておられますウエルビーイングの理念についても、県民一人一人のそれぞれの価値観は異なっております。ウエルビーイングの捉え方も、人によって違いがあるのではないかと思っております。各種施策について、達成基準も必ずしも明確でない。はかる物差しがあるのかどうかという問題もありますけれども、数字で評価すること自体がなかなか困難かなというような思いを持っております。
そこで、令和3年度を振り返っていただいて、コロナ禍における県の各種施策について、知事はどのように評価されているのか、改めてお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。
49 新田知事 この2年間を振り返ってみますと、医療従事者の方々をはじめ県民の皆さんの御協力もいただきながら、新型コロナウイルス感染症との闘いの中での県政運営と言えると思います。その中でも、県民の皆さんとのお約束である八つの重点政策、そして八十八の具体策については、ロードマップを作成しまして、予算に関連しないものを除いて全て予算づけをし、着実に進めることができたと私は思っています。
今年2月には、厳しい経済状況を乗り越えまして、新しい富山県のさらなる発展に向けて、ウエルビーイングを中心に位置づけた富山県成長戦略を策定いたしました。今年度を成長戦略実行の年と位置づけ、成長戦略カンファレンス「しあわせる。富山」では、県内外に成長戦略とそのビジョンを発信し、県内外の多様な人材と連携を広げながら、様々なプロジェクトに取り組んできているところです。
また、「ワンチームとやま」連携
推進本部会議を設置し、市町村との連携協力体制を深化、深めたこと。さらに、SCOP TOYAMA開設をはじめとしたスタートアップ支援の拡充、富山県立大学での情報工学部新設に着手をしたこと、アメリカオレゴン州とのMOUを締結できたことなど、この2年間様々な施策を実行し、本県の未来への種まきができたことを踏まえて、これはマスコミから御質問があったものですが、65点ぐらいかなと申し上げたところであります。
現在、新型コロナウイルスの影響や物価の高騰、少子高齢化、人口減少、災害の激甚化、また、本県のリーディング産業の1つであります医薬品産業の混乱などなど、困難な課題は数多いわけでありますけれども、今後とも、県民目線、スピード重視、現場主義を徹底し、公約の実現はもちろん、県民の皆様のウエルビーイングの向上を目指して、リーダーの役割を果たしながら、積極果敢にチャレンジを続けていきたいと考えております。
50 井加田委員 県民要望で言えば依然として要望が高いのは、福祉、医療、介護、子育て、教育にあると思っております。やっぱりそこに過度な効率性や採算性を求めない。そこが県民目線であると思いますし、何より知事と県庁組織がワンチームとなって、県民目線で取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。
ワンチーム会議の取組と関連いたしまして、2点質問をいたします。
まず、市町村を後押しする県の子ども医療費助成の拡充について、知事に伺います。
「ワンチームとやま」連携
推進本部会議によりまして、子ども医療費助成の拡充が実現いたしました。市町村が先行して実施している子ども医療費助成について、市町村を後押しする県制度の拡充が強く求められておりました。今年度から、通院も入院に合わせた形で、未就学児1歳から6歳まで拡充をされまして、所得制限の完全撤廃、そして現物給付原則が実現いたしました。一歩前進したと評価をいたします。
子ども医療費助成については、以前の総括質問でも取り上げさせていただきましたけれども、そのときも御紹介したかと思いますが、全国的には、入院、通院ともに小学生まで、または中学生まで、少ないですけれども、高校までという県もございます。県負担で助成をしている県も相当数見受けられる現状にございます。
こうした全国状況も踏まえまして、やはり現物給付で支援するということは非常に得難い制度でありますので、引き続き検討が必要ではないかと考えるわけですけれども、県の今後の対応について、知事の見解を伺います。
51 新田知事 県の乳幼児医療助成制度につきましては、委員御指摘のように、昨年度の「ワンチームとやま」連携
推進本部会議での各首長さんたちからの意見も踏まえまして、今年4月1日、本年度から、通院の対象年齢を未就学児まで拡大をするとともに、所得制限の撤廃、また、県内全域での現物給付を実施するなど制度を拡充したと、一歩前進と御評価いただきましたが、進めたわけであります。
少子化対策は、やはり国を挙げて取り組むべき課題であると考えておりまして、その中でも、子育て世代の経済的負担の軽減の観点から、乳幼児医療費助成は極めて重要だと考えています。このため、これまでも知事会を通じて、全国一律の子ども医療費助成制度の創設について、政府に要望しているところでありまして、引き続き働きかけていきたいと考えております。委員御指摘の他都道府県の状況も、全て把握はしております。今のところ一歩前進したということで、御理解をいただきたいと思います。
今後も県としては、市町村と連携しながら、適切な役割分担の下で、子ども医療費助成を含めた様々な子供・子育て施策を結集して、少子化対策に取り組んでいきたいと考えます。
52 井加田委員 知事、ありがとうございました。
それでは、次に、マイナンバーカードについてお伺いをいたします。
令和3年度までの取得状況と、取得が進まない背景にある課題についてお伺いするものでございます。
御承知のようにマイナンバーカードの取得は、現行法の下では申請主義でありまして、義務ではございません。令和3年度事業の中に、マイナンバーカード取得促進に向けた市町村支援事業として、カード取得イベントの開催、マイナポイント事業、健康保険証利用の周知など、マイナンバーカード普及事業が加速しております。
マイナンバーカードについては、利便性向上ということがよく言われますが、実際には、その面はごく一部であります。むしろこれから拡大をしていく検討をされている、既に導入もされている部分もありますけれども、預金口座、運転免許証、健康保険証へのひもづけといった幅広い分野で、これは法律事項でありますので、マイナンバーカードとの一体化が検討されているといった状況であります。
膨大な個人情報がデジタルデータで集まることになります。1枚に集積されるというやり方がいいのか。ちょっと個人的な見解かもしれませんが、健康保険証なんかは、健康保険証にマイナンバーを付与すれば、それで済むのになと思ってしまいます。多くの機器の導入で進まない、特に健康保険証については、いろいろ課題があるなと思っておりますけれども。そこはさておいて、検討中ですけれども、一方で情報漏えいとか、不正利用の危険性も増大している、そういう状況があります。
利便性の向上以上にセキュリティー対策への疑念、そしてそうした不信感から取得を希望しない人も、これまた多くおられるので、それが進まない原因になっていると思っております。また、子供、高齢者、自分で申請できない人も含めて、スマホに慣れない世代もおりますから、デジタルにアクセスをして、行政サービスを利用できない人も少なからず存在するわけで、取得の強制をすること自体が非常に困難ではないかなと思っております。
現段階において、昨年度、現金配布と同様のマイナポイント事業が導入されています。これは普通のカードと一緒にポイント、現金に換わるポイントを付与する事業ですけれども、これはカード取得を促進するということでこういう事業があるわけですけれども、このカード取得の窓口は、市町村の現場でございます。そうした現場にかえって混乱と不信感を招くこととなり、私は、これはあまり適切でないなと。あえて言えば不適切な事業かなと思っておりますけれども、そんなことをしなくても、富山県の取得率は全国でも大変上位にあります。
国において、市町村間のマイナンバーカードの交付率を競争されるような施策は、大変不適切であると考えるものですけれども、こうした背景にある問題について、
南里地方創生局長の見解をお伺いしたいと思います。
53
南里地方創生局長 本県におけるマイナンバーカードの取得率については、本年10月末時点で52.2%となっておりまして、全国平均の51.1%をやや上回るものの、約半数の人が未取得の状況でございます。カードの取得促進に当たりましては、まずはカードの普及啓発に努めまして、令和3年度は、新聞などによる広報や大規模商業施設での申請サポートに取り組んだところでございます。
今後は、利便性や安全性について理解を深めていただくため、健康保険証として利用されるなど、デジタル社会の基盤となるツールであることや、セキュリティー対策についても、安全性を分かりやすく解説する動画を作りまして、特設サイトで公開するなど、引き続き広報に努めてまいる所存でございます。
また、取得に当たっては、原則として本人確認のために市町村役場に出向くことが必要でございます。これもセキュリティーの対策でございます。働く世代にとっては、その点が課題になっているということも考えられるところでございます。そのため、市町村においては、職員のほうが出向く出張申請にきめ細かく取り組んでいただいているほか、県も企業、団体や大規模商業施設等における出張申請受付を支援することとしておりまして、市町村とも連携しまして、取得機会の確保に努めているところでございます。
国各省においては、カードの利用により様々な行政サービスの利便性が向上することから、デジタル関連の補助金等の交付の審査に、その普及状況を勘案するということも検討されておられると承知しております。カードの交付率については、自治体の立地状況や年齢構成など様々な状況も影響することですから、私としても、制度設計に当たっては、地方の意見を十分に踏まえるべきであると考えておりまして、その旨、全国知事会等を通じて国に提案しておるところでございます。
54 井加田委員 やっぱり市町村間でそういう交付率を競うような結果、カード取得が目的にならないように、前のめりにならないように、地道に丁寧に進めていただきたいということを、それも施策の中で、そういう手法が取られないようにということを私は申し上げておきたいなと思います。
次に進みます。
コロナ対策の執行状況についてお伺いします。
振り返れば、令和2年1月後半からコロナ禍は始まりました。感染拡大を何度か繰り返しまして、今、7波、もしくは8波になるのかなというような状況にありますけれども、とりわけ昨年、議会でも何度か議論になりましたけれども、令和3年7月上旬から10月末までの第5波では、感染者が急増し、コロナ専用病床に入院できずに、入院等調整中の方が増え続け、大半が自宅療養となる中で、県も国方針に追随して、
重症化リスク等のある患者さん以外は、原則自宅療養へと方針転換をされました。
自宅療養者が急増して医療崩壊が懸念される中で、昨年8月24日に、私どもの会派から知事への申入れを行わせていただいております。それは、症状に応じて必要な医療を全ての患者さんが受けられるように、知事の権限で設置できる臨時の医療施設等の設置の準備に入るようにということを求めさせていただきました。それから、軽症でもリスクの高い人や病状に応じて適切な医療が受けられる体制、家庭内感染の予防のための宿泊施設等の確保も必要だったと認識をしております。
コロナ補正については、令和2年度に続いて3年度も当初予算に加えて、12回の補正予算、総額466億円が計上をされています。地方創生臨時交付金、あるいは緊急包括支援交付金を活用した入院病床確保や、ワクチン接種の促進等に取り組まれてきた経過がございます。
それで、感染再拡大に備えた県の施策について、こうした病床の確保や宿泊療養施設の確保、地域の発熱外来やかかりつけ医等による診療体制の確保、検査体制の拡充など、県民の命と健康を守るための医療機能強化は必要であり、県としては、昨年を振り返ってどのように取り組んでこられたのか、
有賀厚生部長にお伺いをいたします。
55
有賀厚生部長 新型コロナへの対応が始まって3年近くになりますが、この間、流行株の特性に合わせて適宜対応してまいりました。
具体的には、まずお尋ねのうち、病床確保については、当初は、感染症指定医療機関を中心に受入れを行っておりましたが、現在は、民間の医療機関にも御協力をいただき、フェーズ3では492床を確保しております。宿泊療養施設についても、当初は1棟で運営していたところですが、現在、宿泊需要が高まっている中でも、ホテルや地元の御協力の下、現時点では3棟510室を確保して対応しております。
診療・検査医療機関、いわゆる発熱外来についてですが、令和2年11月の制度開始時には218の医療機関で対応しておりましたが、医療機関の御理解の下、現在は333医療機関まで拡充して発熱患者に対応しております。
最後に検査体制ですが、現在PCR検査については、1日最大約6,000件、さらには従事者の定期的検査を希望する
高齢者施設等には、抗原定性検査キットを配布して対応しておるところでございます。
今後も、県民の皆様の命と健康を守るために、新型コロナの特性の変化にも注意しながら、医療提供体制の確保に努めてきたいと考えております。
56 井加田委員 今日、注意報から警報に切り替わったということでございますので、昨年の経験を踏まえて、本当に今年の拡大時も、やっぱり様々な対応が求められているというふうに思っております。
もう1点、入院病床の確保についてですが、令和3年度の最終予算は137億円、決算額が106億円計上されておりました。入院病床確保に向けては、従事する医療関係者を継続的に配置するための人員増などに対しても、財政支援が求められていたと考えますけれども、この点についてはどのように取り組まれたのか、続いて、
有賀厚生部長にお伺いいたします。
57
有賀厚生部長 県では、令和2年度より、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金を活用しまして、コロナ患者用の入院病床を確保する病院に対して、病床確保料を交付し、医療提供体制の確保に努めているところでございます。
具体的には、令和2年度については、19医療機関に対し総額約118億円、令和3年度は、22医療機関に対し総額約106億円の病床確保料を交付したところでございます。病床確保料の一部については、コロナ患者等の対応を行う医療従事者に対して、処遇改善を行うために用いることが義務づけられておりまして、コロナ対応手当や一時金、人員増に要する経費へ活用されていると認識しております。
今年度も、引き続き病床確保料を交付しているところであり、国に対し、今後とも支援に必要な財源の確保について求めていきたいと考えております。
58 井加田委員 もう1点、コロナに関連しまして、昨年、業務過多に陥った県厚生センターの組織と人員体制の強化にどのように取り組んでこられたのか。また、残る課題は何かについて、引き続きお伺いをいたします。
59
有賀厚生部長 国におきましては、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、保健所の人員体制を強化するため、感染症対応業務に従事する保健師を、令和3年度からの2年間で1.5倍に増員するための地方財政措置が講じられました。
これを受けまして、県では、昨年4月に、高岡厚生センター及び射水支所に保健師を1名ずつ増員し、さらに本年4月には、新川、中部、高岡、砺波の各厚生センターと射水支所に1名ずつ増員して、人員体制を強化してまいりました。また、急激な感染拡大に伴う厚生センターの業務量増大に対応するために、人員面のサポートにより職員の負担軽減を図ってまいりました。
具体的には、厚生センターからの要請に応じて、各部局の本庁、出先機関から各センターへの応援職員を派遣する。それとともに、電話相談業務や健康観察等の業務を行う会計年度任用職員を配置してきました。さらに今年の7月からは、全ての本所、支所に民間の人材派遣会社からの事務スタッフを配置しているほか、8月1日から26日まで、庁内に厚生センター支援チームを設置し、全庁的な職員の派遣を受けて、厚生センターが行う積極的疫学調査への支援を行ったところでございます。
今後についてですが、引き続き新型コロナの急激な感染拡大に備えた人員体制や応援体制を確保するとともに、感染症以外の業務を含め、各センターの業務負担を踏まえた人員や職種の配置を検討することも必要であると考えております。
今後とも、県民の健康を守る公衆衛生の第一線機関としての役割を果たせるよう努めてまいります。
60 井加田委員 今ほど答弁の中で触れられましたけれども、感染症以外の通常業務に必要な業務も、これをまた支えていくのが県の業務だと思っております。本当に1.5倍の地財措置がされているわけですから、しっかり役割を果たしていただく職員を正規で増やしていただく。これが一番の方策だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、コロナ禍で生活に困窮する低所得者への生活福祉資金の活用の現状と課題について質問をいたします。
令和3年度の特例貸付けの予算措置状況と活用状況の推移について、簡単にお伺いいたします。
61
有賀厚生部長 緊急小口資金等の特例貸付けの県社協への貸付原資補助金の予算措置状況と貸付実績については、制度開始時の令和元年度は、予算額2億5,300万円に対して貸付決定額が755万円、令和2年度は、予算額35億3,300万円に対して貸付決定額25億7,293万円、令和3年度は、予算額17億3,883万円に対し貸付決定額17億3,165万円、令和4年度は、予算額5億7,000万円に対して貸付決定額2億9,746万円となっております。
この結果、令和元年度から令和4年度までの累計は、予算措置総額60億9,483万円に対して貸付決定総額は46億958万円となっております。
62 井加田委員 今、措置状況、活用状況についてお伺いをいたしました。これはもう全部貸付額でございますので、これまでも何度か指摘させていただいておりますけれども、令和3年度末までの申請分については、借り入れした方、あるいは世帯主が、令和3年度または今年度、住民税非課税となっている場合は、返還免除対象とされております。生活困窮者、低所得者対象の制度でありますので、これは、貸付返還にかなり難しい面があるのではないかというふうに懸念をされます。
住民税非課税世帯に加えて、生活困窮、低所得者に対する償還免除要件の緩和、拡充なども、事実上給付制度となるような国制度の変更も必要と考えるわけですけれども、県の対応について、厚生部長の見解をお伺いいたします。
63
有賀厚生部長 生活福祉資金の特例貸付けについては、本年9月末で申請期間が終了し、令和5年1月から償還が開始されます。これまでの国の制度では、償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯であれば、償還を免除することができるほか、自己破産等により償還困難な状況があれば、全部または一部の償還を免除できる場合があるとされておりました。
今般、10月末の国の改正通知により、新たに償還猶予の取扱いが示されました。具体的な要件としては、地震や災害等に
被災した場合、病気療養中や失業または離職中の場合、他の借入金の償還猶予を受けている場合、自立相談支援機関から償還猶予が適当である旨の意見提出があった場合、このほか、県社協が例えば収入減少や不安定就労により生活が安定しない、公共料金等の滞納が続き生活が困窮している等のやむを得ない事由により、償還が著しく困難であると認める場合とされるなど、これまでの対象要件が明確化されたところであります。
なお、国に確認したところ、償還免除要件の緩和、拡充については、検討はしていないと聞いております。
今後、県社協においては、償還が困難な借受人の償還猶予や償還計画の変更、少額返済の方法を案内するなど、個々の状況に配慮したきめ細かな対応に努めることとしております。
県としては、来年1月から開始される償還状況を注視するとともに、関係機関と連携し、生活に困難を抱える方々に寄り添った相談、就労支援に取り組んでまいります。
64 井加田委員 ありがとうございます。
かなりの方が何というか、救われるのかどうか、ちょっとまだよく分かりませんけれども、いわゆる新たな物価高騰等で、生活困難者が逆にコロナ禍に続いて相当数おられるのではないかということも懸念をされて、この制度自体の拡充も本当は検討されるべきことかなと思いますけれども、注視をしてまいりたいと、そのように思います。ありがとうございました。
それでは、最後の質問をさせていただきます。
学校現場の支援強化の現状について、教育長にお伺いをいたします。
先週、委員会でもちょっと議論がありました。生徒指導上の課題に関する令和3年度の実態調査、これは文科省が10月27日に公表されていますけれども、その結果は、不登校の小中学校生徒数が過去最多になっている。いじめの件数も前年度を上回るなど、新型コロナウイルス感染症に伴って、学校や家庭における生活や環境が大きく変化をし、子供たちの行動などにも大きな影響を及ぼしている。そうしたことがうかがえる内容であったと思います。
こうした学校現場で直面している深刻な状況に対応していくためには、児童生徒へのさらなる支援強化が求められていると思っております。
教員と連携して学校現場で対応できるのが、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーによる支援体制の強化ということだと思っておりますけれども、全小中学校に配置されているのはスクールカウンセラーで、中学校区に配置をされて、小学校も受け持っているのがスクールソーシャルワーカー、それぞれ任務分担もあると思いますけれども、その方々の勤務状況については、1校当たりの勤務時間が短い。特にスクールソーシャルワーカーの方は、兼務校が多いということで短い。そして、処遇についても様々な要件はありますけれども、期末手当の支給基準にも満たない任用者が多い。こういったことが明確になっております。
児童生徒へのきめ細やかな対応には、こういう処遇ではなかなか不十分ではないかなと、そういう見解を持つわけですけれども、1校当たりの勤務時間の拡充や処遇改善について、検討すべきではないかと考えますが、教育長の見解をお伺いします。
65 荻布教育長 令和3年度における、まずスクールカウンセラーの配置状況でございますが、県内全ての公立小中学校、義務教育学校及び拠点校となる16の県立高校、計269校に対しまして93人を派遣しております。1校当たりでは、およそ週3時間の勤務となっております。
スクールソーシャルワーカーは、富山市は単独配置であり、県からは、富山市以外の市町村全ての中学校区、51校区ございますが、それと県立高校の拠点校4校、計55校に36人を派遣しておりまして、1校当たりおよそ週5時間の勤務となっております。
スクール・サポート・スタッフについては、全ての公立小中学校、義務教育学校及び県立学校の計311校に対して配置をしており、1校当たりおよそ週20時間の勤務となっております。
それぞれの処遇ということでございますが、令和3年度の実績では、スクールカウンセラーの場合、公認心理師などの有資格者は1時間当たり5,500円、その他は3,500円、スクールソーシャルワーカーの場合は、社会福祉士等の有資格者は3,000円、その他は1,500円となっております。教員の補助的業務を担うスクール・サポート・スタッフについては、1時間当たり約900円となっております。このほか、それぞれの勤務状況等に応じて、通勤手当、期末手当などが支給されております。
児童生徒が抱える課題の背景が多様化、複雑化している中、より適切に対応していくためには、こうした外部人材を活用し、支援体制のさらなる強化を図ることが必要であると考えております。
今後も、国に財政支援の拡充を要望するとともに、児童生徒の支援体制の充実に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
66 井加田委員 ちょっと時間も迫ってまいりましたので、スクール・サポート・スタッフについてだけ申し上げます。週20時間相当で時給が900円ということですので、大変これは、処遇は低いなというふうに思います。勤務時間も、最も教員の身近なところで、スクール・サポート・スタッフということの配置の前提があったと思います。やはり、教員の多忙化解消につながる業務補助を担うエキスパートとして、しっかり役割強化と処遇改善が必要だと思いますけれども、教育長の見解をお伺いします。
67 荻布教育長 さらなる支援体制の充実を図る必要性というのは、理解をしております。財政支援の拡充ということについては、しっかりと国に要望してまいりますし、県としても体制の充実に向けて、これは努力をしっかりしていきたいと考えております。
68 井加田委員 国を待つのではなく、県として、できる努力をぜひしっかり前へ出していただきたいということを要請しておきたいと思います。
終わります。
69
五十嵐委員長 井加田委員の質疑は以上で終了しました。
ここで換気のため、暫時休憩いたします。
休憩時間は10分間といたします。再開は2時50分といたします。
〔休 憩〕
70 武田副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
火爪委員、あなたの持ち時間は40分であります。
71 火爪委員 日本共産党の火爪弘子でございます。では、よろしくお願いをいたします。
2021年度の最大の課題もやはり
新型コロナ感染症対策だったと思います。報道によれば、就任2年目の記者会見で新田知事は新型コロナ対策について問われ、及第点だった、いい成績を残せていると思うと述べられたといいます。評価が甘いのではないかと感じたのは私だけではなかったと思います。
もちろん問題点の多くの原因は政府の対応が行き当たりばったりで、科学的根拠も希薄であったことにあると思います。しかし、県独自の対応で感染を抑え、手厚い支援を行っていた自治体もありました。県内では、先ほど質問にあったように、厚生センターや富山市保健所の人員不足による対応の不十分さ、検査体制の不徹底によるクラスターの発生、医療体制の逼迫と医療現場への大きな負荷、第5波における在宅療養者の増大と在宅療養者への支援の不備、飲食店など県内業者への独自支援の不十分さなど、課題は多かったのではないかと思います。
知事の発言に関する報道に接した医療、介護関係者からは、現場の苦しみが分かっていないのではないかと厳しい批判の声が寄せられています。これまでの
新型コロナ感染症対策の評価と反省点などについて、まず知事の認識を伺います。
72 新田知事 新型コロナ対策につきましては、県民の皆様の命と暮らしを守ること、これをもちろん最優先としながら、感染防止対策と社会経済活動を両立させる、そのような観点でやってまいりました。令和3年度は、感染対策では確保病床や発熱外来の拡充といった医療提供体制の確保、また、健康観察や食料支援など自宅療養者への対応、さらに、ワクチン接種については県特設会場の設置による接種の加速化に努めました。
このような取組の結果、データとしてはですが、令和3年度の人口10万人当たりの本県の感染者数と死亡者数については、どの波においても全国平均を大幅に下回っていたというデータは出ております。県民の皆様の御協力のおかげもあって、感染拡大を一定程度抑えることができたと考えております。もちろん、これは今、委員がおっしゃった、現場の皆さんの本当に献身的な御努力のおかげだとも思っております。
一方で反省点ですが、御指摘のように保健医療の現場には多大な御負担をおかけしたと思っております。改めて医療従事者の皆様をはじめ、新型コロナ対応に携わった皆様にお礼を申し上げたいと思います。明らかに医療資源というのは有限です。コロナだからといって、急に手当てをしたり、増やしたりすることはできません。有限の医療資源をどう逼迫させずに、一般医療にもしっかりとリソースを回せるようにするか、これを常に考えてやってまいりました。
また、新型コロナの感染拡大によりまして、飲食店をはじめ幅広い業種の事業者が大きな影響を受けたため、リバイバル補助金などによりまして事業の再建、成長発展を図るための取組を支援してきました。また、緊急支援パッケージとして、国の支援金に上乗せする事業復活緊急応援金の給付、保証料をゼロとする
ビヨンドコロナ応援資金の拡充、これらによって事業の維持、継続を下支えするなど、切れ目のない支援にも努めてまいりました。
現在、感染が再拡大していることから、昨日、対策本部会議を開催しましたが、引き続き県民の皆様の御協力を得ながら、感染対策に努めてまいりたいと考えます。
73 火爪委員 お答えをいただきました。数字を挙げて、特に大きな反省点はないとか、コロナ対応では及第点だったなどという発言が報じられることが、県の必死の努力に対する、やっぱりマイナスの影響を与えているということをぜひ伝えておきたいと思っております。
厚生部の決算を見ますと、令和3年度、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の国への返還金が18億6,156万円に上っております。これは、前年度に受け入れたものを使い残して、この年度に返還した金額であります。令和3年度の余剰金額についてはすぐは計算できないということでありました。令和2年度に使い残して令和3年度に返還をした金額を見ますと、感染症対策費が12億6,199万円、宿泊施設確保事業費1億8,133万円、高齢福祉費2億1,108万円などとなっております。国の昨年度決算に対する会計検査報告でも、自治体から翌年度になって返還された金額の多さが指摘をされておりました。
多額の予算の中で、僅かだというふうに受け止めるのではなくて、予算が余りそうな段階で柔軟な支援枠の拡大を検討し、有効に使うなどの予算執行ができなかったのか、厚生部長に伺っておきたいと思います。
74
有賀厚生部長 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金は、新型コロナ患者用の入院病床確保事業や宿泊療養施設の確保・運営事業、介護、福祉施設における感染対策支援をはじめとする34の事業が対象となる交付金であります。その用途については、国が要綱等で事業ごとに細かく定めておりまして、事業ごとに国の採択を受けて交付を受けているものになります。このため、余剰が生じた場合でも、他の県実施事業への柔軟な活用はできない交付金となってございます。
国への返還金のうち医療分、こちらが14億7,000万円になりますが、これの主な要因は、病床確保事業で確保した病床の数や入院者の増減により金額が大きく変わるものになりますけれども、これが入院患者数が想定よりも多かったことによるものでもあります。介護、福祉分の主な要因についてですが、事業所等の感染防止対策、サービス再開に必要な衛生物品等の購入や環境整備を支援する事業で、ほぼ全ての事業所から申請があったものの、実施する取組が様々であり、補助基準額に満たない申請が多かったことによるものでございます。
新型コロナウイルス感染者の数、そして、入院者数、事業所等の取組を正確に予測するということは困難でありますが、県としては、不足が生じないように十分な交付額を確保したものでございました。
75 火爪委員 このかちかちの使い勝手については、ぜひ国に対しても柔軟な対応を今後要望していくべきではないかと思っています。基準額に使用が満たなくて、満額もらえなかったという話もいろいろ聞いております。かちかちの中でも、できるだけ使ってもらえるような事前の周知や支援、そういうことも求められたのではないかと思っております。今後も努力をしていきたいと思います。
次に、
PFI導入可能性調査について伺います。昨年は県の武道館と高岡テクノドーム別館新築事業への
PFI導入可能性調査が実施されました。しかし、さきの2月定例県議会でも指摘をしたところでありますけれども、今回の調査報告書では、VFMの算定が過大に見積もられているのではないかとの疑問が拭えませんでした。会計検査院が検証した国のPFI事業では、維持管理費は結果として従来方式よりも高くつくとの指摘がされています。
また、将来の金額を現在の価値に置き換えるときに使う金利、割引率ですが、これが高岡テクノドーム別館は0.1%に対して、県武道館は1.2%と高く設定している理由も明らかにされませんでした。2月定例会の答弁では、国の計算式がこうなっている、国はこういう計算を認めている、コンサルの調査結果だからと結果だけが押しつけられたという印象を持ちました。
我が党は、導入可能性調査段階での第三者委員会による検証を求めましたが、これも実施されませんでした。結局、公の施設が県民サービスや地元業者の仕事確保の場から大手ゼネコンの利益追求の場に変えられるのではないか、そういう不安は拭えません。このPFIの採用は、特に県としては初めてであることから、その仕組みも難解で、より慎重な議論が必要だったのではないかと改めて感じています。県議会や県内建設業界を含め、県民への情報提供ももっとあってもよかったのではないかと思います。現在の見解を蔵堀副知事に伺います。
76 蔵堀副知事 県武道館と高岡テクノドーム別館の
PFI導入可能性調査では、民間活力導入の方向性を検討するため、施設利用者となる関係団体のニーズの調査、それから、施設の建設や運営を担います民間の事業者に対してもヒアリングを行いまして、事業への参画意向調査、また、それぞれの事業者の事情等についてもお聞きをしたところです。
そういうふうに進めてまいったところでございますが、それぞれの調査は別々のコンサルに委託しております。その内容については、それぞれのお考えもあって算出をされているというところでございます。ただ、今後手続を進めるに当たりましては、県のガイドラインに沿いまして、事業者選考審査会を設置して進めてまいります。その中で、公平性、透明性等も確保して進めてまいりたいと考えております。
77 火爪委員 確認をしておきます。割引率の違いは、請け負ったコンサルが違ったからという答弁だったのでよろしいでしょうか。
78 蔵堀副知事 国のガイドラインでは考え方を定めておりますので、具体的にどのような率を取るか、国の考え方はリスクフリーレートを採用するということを定めておりますので、それぞれの考え方というのはあると思います。ただ、実際の1.2%と0.1%の違いはありますけれども、仮に武道館で0.1%を採用したとしても、意味のあるVFMが算出できていると考えております。
79 火爪委員 この段階ですので突っ込んだ議論はできないかと思いますが、1億円以上の割引率の差があって、私たち県議会に示されるときにそういう説明も丁寧にされずに、2月定例会でPFIの導入が望ましいという結論を一旦出すことになったわけであります。これは、最終的に県の武道館については2月定例会ということになろうかと思いますが、昨年の導入可能性調査は最初の導入にしては、やはり問題が大きかったのではないかなという指摘をしておきたいと思います。
次に移ります。
しかも、PFI方式を採用すると、従来方式よりも工事着手が大幅に遅れます。今月に入って、ご存じのように高岡テクノドーム別館は建設資材などの高騰により建設費が当初試算の26億5,000万円から46億3,000万円に跳ね上がるという、私たちとすれば、驚愕をするような数字になったわけであります。県の武道館についても、程度の差はあれ、費用の増大は避けられません。やっぱりできるだけ分離分割発注をして、地元の業者にいち早く請け負っていただいたほうがよかったのではないかと。いずれも従来方式を採用したほうがよかったのではないかという意見が寄せられています。この点、改めて知事の見解を伺います。
80 新田知事 昨年度の民間活力導入可能性調査の結果を踏まえまして、導入方式として武道館は実施設計からのPFI-BTO方式、テクノドーム別館は管理運営からのPFI-O方式を選定しました。両施設においてPFI方式を選定したのは、VFMによる定量的な評価だけではなく、民間事業者のノウハウの活用や創意工夫によるサービス向上といった定性的な評価も重視して、財政負担の軽減とサービス向上の両面を総合的に評価して選定を判断したものです。
建築資材価格の高騰は想定できなかった、まさにVUCAの時代、国際的な社会経済情勢の変化により生じているものです。その上で、今回PFI方式の採用によって、総事業費の削減だけではなくて、稼働率のアップや利便性の向上などの点、個別分離発注方式ではなかなかできないような、そんな民間のノウハウを活用できると考えております。PFIの制度が日本でも活用が始まりまして20年以上たちます。本県ではこれまで実績はありませんでしたが、職員は今、懸命に勉強してくれておりまして、これから実績を積み上げていって、経験値も上がっていくというふうに期待をしております。
また、中央大手建設業者に仕事がいくのではないかという御懸念もよく聞くところでございます。そう言っていては何も始まらないわけですね。今は地域のプラットフォームなどの場に地元の業者さんにもいろいろと参加をしていただいて、知見を積んでいっていただこうというふうに進めております。決してオミットしているわけではありません。そんなチャンスも大いにつくっていきたいと考えております。今後もこの民間活力の導入に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
81 火爪委員 これも、今後もまた議論が続くことだと思います。民間事業者にお任せするからサービスが向上するんだということについて、私は幻想ではないかと思っています。また、民間事業者が利益を低く抑えてVFM、利益を上げるためには、何を抑えるか。やっぱり最大の対象は人件費の削減になってしまうのではないか。低賃金の派遣労働者がPFIでは大量に使われるという不安を感じています。
それから、経済界が県外への流出を言っていたら何も始まらないと言われるのならともかく、県内の産業、下支えに責任を持つ、推進に責任を持つ自治体としての県が、利益の県外への流出をいろいろ言っていたら何も始まらないという姿勢は、私はいかがなものかと思っています。こういう姿勢でこれからも県内の公共事業が扱われるという危惧を私は感じておりますし、PFIの導入を皮切りに、そういう県政に進んではならないと改めて強く指摘をしておきたいと思います。
次に移ります。
昨年度は新とやま温暖化ストップ計画に基づく
温室効果ガス排出量調査が実施されております。それによれば、2004年度から17年間で削減された民間世帯当たりのエネルギー消費量は29.5%であり、県の総合計画が掲げた目標の26%減はクリアすることができました。一方、事務所、ビル等の床面積当たりの削減率は26.6%で、目標は32%でした。目標は未達成ということになっております。
この計画から見た目標の未達成は、今後の計画をつくる上でも重要な検討要因であります。この未達成の要因をどう分析し、今後の計画にどう反映をしようとしているのか、知事政策局長に伺います。
82 三
牧知事政策局長 県では毎年度、県内の
温室効果ガス排出量の算定結果を公表しております。今、御説明がありましたけれども、本年4月に公表した2019年度の排出量は1,062万トンであり、2013年度の1,296万トンと比較し18%減というところで、内訳としても、産業、家庭、業務、運輸の全ての部門で排出量が減少しておりまして、省エネルギーや再エネの導入の取組について全体としては成果が出つつあると考えております。
一方、今御指摘ありました事業所・ビル等の延べ床面積当たりのエネルギー消費量につきましては、2019年度削減実績は環境基本計画に定める目標に達していないという状況でございます。県としましても、この目標の達成に向けて、これまで国による中小企業向けの環境マネジメントシステムのエコアクション21の普及や脱炭素経営を促進するセミナーの開催など取組を進めてきたところでありますし、事業者におかれましても様々な省エネ対策に取り組まれていると承知しておりますが、今後さらなる取組を促す必要があると認識しております。
こうした現状を踏まえまして、現在検討を進めている富山県カーボンニュートラル戦略におきましては、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、全体の
温室効果ガスの削減目標の設定はもとより、個別分野ごとに部会を設置しまして、丁寧に分野ごとの課題を洗い出して、より効果的な対策を盛り込みたいと考えております。その上で、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
83 火爪委員 よろしくお願いします。
このテーマについてもう1つ、昨年は再生可能エネルギービジョンの改定作業も行われております。検討結果の取りまとめも公表されておりまして、私も再度読ませていただきました。この中では、2020年段階の県内の再生可能エネルギーの発電量は県内の電力需要の96%に相当するが、富山県はその多くを県外に送電する電力移出県であるため、県内供給量に占める再エネ由来は25.9%にとどまるということが示されております。
その上で取りまとめは、2050年に県内需要量の全てを県内由来の再エネで賄うため、2030年に県内電力供給量の50%を再エネで賄うという目標を掲げております。この目標が高いか低いかは検討が必要だと思います。しかし、いずれにしろ取りまとめが提起した4つの柱、脱炭素社会実現、2つ目、産業活性化、3つ目、地域活性化、4つ目、防災力の強化の実践は急がなければならないと思います。
これは、今年度検討されている富山県カーボンニュートラル戦略に反映されるのだと思いますが、実践がそれ待ちになってはならないと思います。昨年度の再生可能エネルギービジョン検討結果の取りまとめをどう受け止め、今年度からの実践にどう生かしてきたのか、引き続き局長に伺います。
84 三
牧知事政策局長 昨年度の富山県再生可能エネルギービジョン改定検討会議における検討においては、再生可能エネルギーの導入に向けて、県内の再エネ導入ポテンシャルの調査や、それに基づいた導入目標の試算を行い、再エネ導入促進のための施策の方向性を──今ほど委員からも御説明ありましたが、整理することができたと認識しております。
委員から数値の御説明がありましたけれども、現在でも富山県は非常に再エネ導入していますが、それを使っているのがまだまだ足りないと。その電力を県内にとどめておくのかというよりは、我々としては、やはり県内の再エネのポテンシャルをできる限り実現していくというところを今回の富山県カーボンニュートラル戦略に引き継いでおりまして、とにかく本県の再エネ導入ポテンシャルを最大限生かしていくと。それのために、市町村との連携、さらに民間活力の導入、
デジタル技術の活用、そして、地域の人材育成といった視点も盛り込んで、今検討しているところでございます。
また、先ほど御説明がありましたけれども、やはり脱炭素の目標達成に向けては再エネ導入だけではなくて、省エネ、吸収源対策、そして率先行動、適用についても一体的に議論すべきというところで、今まとめて議論しているところでございます。
一方で、カーボンニュートラルの実現については戦略をつくって、中長期の取組と併せて早期に対策に着手することも重要であると考えておりまして、例えば、洋上風力につきましては、本県の東部沖について4月に再エネ海域利用法に基づく促進区域の指定に関する国への情報提供を行いまして、9月に一定の準備段階に進んでいる区域として整理されたところでございます。また、足元のエネルギー価格や物価高騰への対策として、中小企業の省エネ対策への支援、これも商工労働部において新たに行うなど、関係部局においても機動的に対応していただいていると認識しております。
また、本年度につきましては、再生可能エネルギーの導入に向けて市町村と連携した普及啓発事業についても開始しております。
県としては、カーボンニュートラルの実現に向けて引き続きスピード感を持って取り組みつつ、戦略策定によってその取組が一層加速されるよう、しっかりと努めてまいります。
85 火爪委員 このテーマは、今議会の大きな議論のテーマの1つだと思います。今後もしっかり関わっていきたいと思っております。
次に、教育に関して伺います。
昨年度は、長年動かなかった少人数学級が動いた年でもありました。国制度に2年先駆けて、35人学級を小学校3、4年生まで拡充いたしました。それまで小学校3、4年生の選択制という制度が、正式な35人学級になったわけであります。少人数用学級の教員も、まず7人からですが、初めて県単独で配置されたことはよかったと受け止めております。現場からは、生徒たちに目が行き届くようになったと歓迎の声も上がっております。
同時に、これまで配置されていた──これまで校長さんの判断で、少人数学級にするのか、そうではない講師の人を柔軟に使っていくのかということが任されていたわけですけれども、それが少人数学級、クラスを増やすということに変わったわけであります。この選択制なのか、正式な35人学級なのかということは、石井県政のときにずっと議論になってきたテーマであります。私たちは、少人数学級がまず大事だ、その上で、少人数授業だということで、小中学校全学年への35人学級を求めてきたわけであります。
現在、中学1年生がこの35人学級選択制となっておりまして、今後どうするのかというのは、これは大きな検討課題となってくると思います。そこで、確認をしておきます。35人学級拡大の教育的効果と今後の課題について、教育長に伺います。
86 荻布教育長 昨年度、国の制度に2年先行して35人学級を小学校3、4年生で実施した学校数でございますが、小学校3年生では17校、小学校4年生では24校で導入されたということでございます。対象となった学校からは、児童一人一人の学習のつまずきを把握し、きめ細かな指導ができるので、学力の向上につながっているといったような声、また、学習指導だけでなく、友達とのトラブルや生活指導が必要な場面においても、早期に児童の小さな変化にも気づきやすいといった声がありました。また、保護者からは、低学年のときと同様に担任が児童一人一人に応じて丁寧に見てもらえるといった声を聞いております。
本県では、これまでも国の加配定数を活用しまして、少人数指導と少人数学級それぞれのよさを組み合わせた効果的な少人数教育を展開してきたところでございます。35人学級の先行実施のために必要な国の定数の不足分については、県単で予算措置をして対応したというところでございます。
今後についてですが、国において35人学級の拡大に伴い定数が拡充されていく中で、その増加分について、これまで少人数指導に活用していた加配定数の振替による対応が引き続きなされて、本県の少人数指導に影響を来すということも懸念されるところでございます。
市町村教育委員会からは、学校現場の実情に応じた少人数指導ができる教員体制の維持を求められておりますことから、今後も少人数学級のメリットを最大限生かすとともに、効果的な少人数指導との組合せによる充実した少人数教育が展開できるように、国に対して少人数指導に係る定数の維持改善を強く働きかけてまいりたいと考えております。
87 火爪委員 これは来年度予算の編成にとっても大事な問題ですので、ぜひ生かしていただきたいと思います。
今月の7日に、これは全国的な市民団体ですが、School Voice Projectなど幾つかの市民団体が一緒になって、教員の未配置状態の全国調査の結果を公表しております。それによると、今年度の4月の始業式時点で教員が1人以上不足している学校は小学校で3割、中学校で5割。それが9月1日段階になると、不足数は小学校で6割、中学校でも約6割、54%とのことでした。県内でも教員未配置が大変問題になってきまして、教育委員会として、昨年度、一昨年度集中的な努力をしていただいたと思います。
その結果、昨年度はどこまで改善されたのか伺っておきたいわけであります。現在、教員の大量退職により、産休や育休を取得する年代の教職員も増えております。教員採用試験に合格しなかった先生の予備軍も減っております。代わりの先生が見つからないという事情というのはよく分かるわけであります。5月1日の時点で既に未配置が生じている学校がある。それが2学期から3学期になると、未配置がますます拡大するという事態は、県内でもさきの調査と無関係ではないと考えています。
そこで、5月1日時点で未配置が予想される教員数をあらかじめ正規教員として採用をしておくことが大事だと思います。この定数化を国に強く要望をしていただいて、実現するまでは県単独でも確保することを求めたいと思います。今後どう取り組んでいくのか、実態と併せて教育長に伺います。
88 荻布教育長 昨年度の教員の未配置の状況でございますが、全校種合わせてでございますけれども、昨年度の5月時点では17名、1月時点では49名でございました。ちなみに、本年度5月時点では7名、9月時点では22名という状況でございます。
未配置が生ずる理由としましては、病気休業など事前に把握できない不測の事態が生じると、欠員として臨任講師が必要となるわけですが、委員からもありましたように、他の仕事に就かずに待機している臨任講師の登録者数というのが少なくなっているために、年度途中は未配置が増加する傾向がございます。安定した学校運営を行い、児童生徒の授業に支障がないようにするためには、未配置を生じさせず、各学校に教員を確実に配置することが重要というふうに考えております。
今ほど御提案のありました5月以降の休業などを理由とした代員配置を見越した教員の採用ということについては、これは財政措置を伴う国による定数措置というのが、まず不可欠だと考えておりまして、年度途中での代員確保が困難な状況も踏まえて、国に対してその必要性は強く働きかけていきたいと考えております。
また、今後とも代員も含めた必要な教員の確保に向けて、市町村教育委員会と連携いたしますとともに、教員の多忙化解消、働き方改革などをはじめとしまして、教員の確保の取組全体として、総合的に進めてまいりたいと考えております。
89 火爪委員 よろしくお願いします。こういうこと1つ1つが教職員の多忙化を加速し、教員を希望する若者が減少するということにつながっております。しっかり取り組んでいきたいと思っています。
最後に、医薬品製造の取組の中から2点伺っておきます。
昨年度は県内ジェネリック医薬品製造業者による法令違反に対する県の対応も厳しく問われました。富山県GMP査察調査委員会は昨年5月の提言で、富山県のGMP調査の件数は過去5年間の平均で181.2件に上り、県の調査員が余裕を持って調査を実施できる数を大きく超えているとしました。その上で、調査員の時間外勤務も中には800時間を超えている者もいて、明らかに過多であるとも指摘をしております。
それでも提言は、その上に調査をさらに強化する方向を示しております。無通告調査や組合せ調査の増加、調査手順や指導要領の見直しなどを提起しました。その上で、調査の効率化も求めておりますが、業務量はさらに増えているのではないでしょうか。その後、くすり政策課に職員3人が増員はされましたが、果たして1人当たりの検査数は改善されたのでしょうか。今回は決算特別委員会の要望指摘事項の中に、薬剤師の増員確保という項目も入れることになりました。今後どう取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
90 新田知事 昨年3月の県内製薬企業の薬機法違反事例を受けまして、県では昨年の4月に外部の専門家による調査委員会を設け、県のGMP調査方法などの課題や実効的な調査が行われるための改善策について提言をいただき、体制の強化を図ってきています。
委員御紹介のとおり、まず人員ですが、GMP調査を担当するくすり政策課の指導係という部門に昨年の12月に1名、本年4月に2名、計3名の薬剤師を増員しました。教育訓練を経て、本年10月末までに全員がGMP調査員として認定をされました。また、無通告の立入調査につきましては、リスクの高い製造所を選定し、計画的に実施してきておりまして、令和3年度の調査件数は前年度の3倍まで増加しています。また、実効的な調査方法の導入に向けて、医薬品医療機器総合機構PMDAと合同での無通告調査、また、外部研修会の受講などにより、調査技術の向上を図ってきています。
今後は、業者からの申請などに基づく実地調査であっても、品目を無通告で調査するなどの機会をさらに増やすほか、調査報告書の簡略化や作成の効率化にも取り組み、質の向上を行うなど、GMP調査体制のさらなる強化に努め、医薬品の品質確保を図っていきたいと考えております。
このように、調査体制を、検査体制を強化するということは大切なことではありますが、でも、第一義的にはこんなことが起きないように、まず業界の中で、また、こちらの努力で正しく製造して良い品質を保つという、このようなことにまずは導いていく、その上でのこういう検査と考えております。
91 火爪委員 それはそれ、増員体制、県の体制は体制ということで、両方にらんで強化をしていただきたいと思います。
最後に伺います。薬の地産地消という意味で、県産シャクヤクのブランド化事業をずっと応援をしてまいりました。漢方薬の製剤原料となる生薬は約8割が中国由来と言われており、価格も年々上昇をしております。少し古い数字で恐縮ですけれども、日本漢方生薬製剤協会の調査でも、調達価格は2014年までの8年間でさえ約2.4倍になったという報告があります。原材料が県内由来のより安心・安全な漢方薬がいずれ商品化されることを強く期待をしております。
今年度は、県内農家が育てたブランドシャクヤクの商品化が期待できると聞いていますが、取組の現状と課題について厚生部長に伺います。
92
有賀厚生部長 委員御指摘の富山シャクヤクのブランド化推進事業のことですけれども、こちら、本県での栽培に適した付加価値の高いシャクヤク品種「春の粧」を富山のブランド品種と位置づけ、平成30年度から県内の生産者での栽培が開始され、4年間生育した根の収穫が、今年の秋初めて行われたところでございます。この収穫した根については、今後乾燥等の加工や有効成分の試験などを行い、医薬品原料としての規格に合致することが確認できれば、出荷が可能となる見込みでございます。
また、今後の「春の粧」の商品化に向けては、生産量に合わせた販路の拡大や、収穫までの4年間の収益確保が課題となっています。このため、引き続き県内外の製薬企業との協議を進めるとともに、農林水産部と連携し、販売用の切り花生産の実証を行うなど、富山ブランドシャクヤクの生産拡大に取り組んでまいります。
93 火爪委員 ありがとうございました。毎年の進捗は僅かではありますが、ぜひその都度成果を大いにアピールしていただいて、薬用植物を取り扱う県内農家も増えていくように、農林水産部と協力をして取り組んでいただきたいと思います。大いに期待をしております。
私の質問はこれで終わります。
94 武田副委員長 火爪委員の質疑は以上で終了しました。
吉田委員、あなたの持ち時間は40分であります。
95 吉田委員 公明党より質問いたします。
初めに、こども食堂の設置拡充についてお伺いをいたします。こども食堂は子供の貧困対策だけではなくて、子供の居場所づくり、さらには地域活性化や交流の場として大変有効なものであり、全国的に広がりを見せております。県内におきましても、これまでこども食堂がなかった砺波市では先月3か所が設置され、その中でNPO法人もったいないフードバンクとなみが、ひまわり子ども食堂を設置されました。このNPO法人は、食品事業者から食品を無償で集め、生活困窮者や福祉施設などに配付する活動を展開しており、食品ロスの削減にも貢献をしております。
今回、このこども食堂が運営されることとなり、フードバンクとこども食堂がコラボしたユニークな取組であり、こうした取組が他の地域にも広がっていけば、こども食堂の設置がさらに進んでいくのではないかと考えております。
そこで、県ではこども食堂の設置の促進に向けて、こども食堂への助成事業や子どもほっとサロンネットワーク事業などを実施されておりますけれども、令和3年度における実施状況はどうなのか、あわせて、こども食堂の設置拡充をさらに促進していくため、今度どのように取り組んでいくのか、
有賀厚生部長に所見をお伺いをいたします。
96
有賀厚生部長 県ではこれまで、こども食堂への支援策として、こども食堂の立ち上げ経費の助成や、食品衛生指導や食事メニューの考案、食育活動への支援、こども食堂開設予定者向けの研修会の開催、こういった支援を行ってまいりました。これにより、こども食堂の箇所数は、昨年度は一昨年度に比べて4か所、今年度に入ってから11か所増加し、現在37か所となるなど、大きく増加しております。
委員から御紹介のあったフードバンク活動と併せてこども食堂を運営されている砺波市の事例は、食品ロスの削減を図りつつ、こども食堂への食品提供の支援につながり、相乗効果のあるモデル的な活動として県内各地に広がっていくことが期待されます。
今後、こども食堂の設置をさらに促進していくためには、このような特徴のある取組やノウハウを活用した未設置地域への普及啓発や相談支援、食品関連企業等の食材提供側とこども食堂の受入れ側とのマッチング、シニア世代との交流活動や学習支援などの活動に対する支援が必要と考えており、支援策について検討してまいります。今後とも子育て家庭等への食事支援や子供の居場所、そして、地域の交流の場としてこども食堂が地域において広がるよう、市町村やこども食堂の運営者の皆様などと連携して取り組んでまいります。
97 吉田委員 ぜひこども食堂、これは子供の食堂というだけではなくして、地域の絆を結ぶ場として、また、子供からお年寄りまで誰もが気軽に集まれる居場所づくりというようなことを言っておられますので、ぜひひとつ拡充に向けて努力していただきたいと思います。
次に、
母子保健施策の推進についてお伺いをいたします。近年、核家族化、地域のつながりの希薄化、そして晩婚化、晩産化などに伴って、妊婦、それから出産、子育てに係る妊産婦の不安が増加しております。こうした中、家族、近隣、社会からの適切な支援を受けられず孤立している妊産婦や、思いがけない妊娠や経済的な問題など、様々な理由で妊娠や出産について悩んでいる方もいらっしゃいます。こうした方々への支援も含め、子育て支援については妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援の拡充を図るため、
母子保健施策は大変重要であると考えます。
そこで、県では、切れ目のない妊娠・出産包括支援推進事業、あるいは不安を抱えた妊婦への支援事業などを実施されておりますが、令和3年度における実施状況と今後の取組について新田知事にお伺いをいたします。
98 新田知事 委員御指摘のように、妊産婦を取り巻く環境の変化によりまして、不安感を抱く妊産婦、また、予期せぬ妊娠や産後鬱、経済困窮者など、手厚い支援が必要な妊婦に切れ目なく支援するためには、対応に当たる市町村保健師の相談スキルの向上を図るとともに、周産期医療関係者や市町村の母子保健と児童福祉との連携を強化していく必要があると考えております。
このために、切れ目のない妊娠・出産包括支援推進事業では、各市町村の母子保健と児童福祉が一体となって相談支援できるよう、DVや虐待に係る支援の具体的な進め方についての講義や、関係機関の連携、協働に関する県内での取組事例の紹介と情報交換を行う研修を実施しました。また、各厚生センターごとに周産期保健医療地域連携ネットワーク会議を開催しまして、新型コロナ感染症に対する妊産婦の支援など、妊産婦への支援が必要と判断した際の関係機関の情報共有と連携できる体制を構築しております。このネットワーク会議は、令和3年度には3回、新川、高岡、砺波で開催をしております。
また、不安を抱えた妊婦への支援事業という面では、県女性健康相談センターにおきまして、電話やLINEによる妊娠・出産悩みほっとライン、あるいは、産科受診が困難と判断される妊婦への受診同行支援などを実施しておりまして、令和3年度は電話で54件、LINEで83件の相談がありました。
今後も保健師などの相談スキルの向上と地域の周産期医療関係者とのネットワークの構築、また、市町村の母子保健と児童福祉との連携強化を推進しまして、様々な理由で妊娠や出産について悩んでいる方に寄り添う支援の充実強化に取り組んでまいります。
99 吉田委員 両方に共通しているのは、やっぱり同行支援ですよね。介護保険でもいろいろ目に見える形で支援していけば、やっぱりその重要性を分かっていただけるのですが、なかなかこの妊娠、出産に関しては、非常に不安を抱える、非常に孤立化している若者が多いし、そういう意味で、目に見える形で一緒になって行動してあげるということが一番大切かなと思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
次に、eスポーツを活用した
介護予防施策についてお伺いをいたします。本県でも高齢化が進展し、さらに団塊の世代が全て75歳以上となる2025年には、県民の3人に1人が65歳以上となることが見込まれております。こうした中にあって、高齢者が住み慣れた地域で元気に暮らし続けていくためには、要介護状態にならない介護予防の取組が大変重要と考えます。
そこで、県では令和3年度に、楽しみながら介護予防の促進につなげられるeスポーツに取り組んでおりますが、どのような内容で行ったのか、
有賀厚生部長にお伺いをいたします。
100
有賀厚生部長 県では、eスポーツが高齢者の介護予防や社会参加の促進につながるものと期待されることから、令和2年度に住民主体の通いの場2会場においてモデル的に、富山県立大学と連携して、高齢者向けeスポーツ体験会などを実施してきました。この取組を経て、令和3年度にはeスポーツ体験会の取組を拡充し、高岡市内と氷見市内のそれぞれで2か所、魚津市内1か所の計5か所で計15回実施しております。
この体験会では、高齢者に太鼓の達人などの市販のゲームのほか、県立大学の研究として独自に制作したゲームである窓ふきの達人のプレーを通して、上肢可動域──上ですね──、の測定にも取り組んでいただきました。また、体験会の最終回には高岡市内の2地区を結んでオンラインによる対戦も実施するなど、eスポーツを通じて高齢者同士の交流を行ったところです。
101 吉田委員 私もこのeスポーツが、介護予防に役立つことを最近になって知ったわけですが、まだまだ知らない人もたくさんおられると思いますので、普及にひとつ頑張っていただきたいと思います。太鼓の達人や、ぷよぷよなど、いろいろ聞くわけでありますけれども、楽しく介護予防できるということが非常に大事かと思います。
そこで、次へいきますが、最近、新聞報道で、県内各地で高齢者がeスポーツ体験会等に参加し、楽しんでいるといった情報を目にすることが増えました。このeスポーツは、閉じ籠もりがちな高齢者でも身近な地域の公民館などに集まって楽しむことができ、また、子供や若者との交流の機会を持つきっかけづくりにもなり、本県においても今後ますます普及していくものと考えます。
そこで、このeスポーツは社会参加と多世代交流といった面で、高齢者の介護予防の促進に大変有効と考えられますが、令和3年度の事業も含めて、これまで県が行ってきたeスポーツの成果をどのように捉えているのか、
有賀厚生部長にお伺いいたします。
102
有賀厚生部長 eスポーツ体験会の参加者からは、健康につながった、周囲の方との会話が増えたといった前向きな感想を多くいただいたほか、ゲームの説明や指導に当たった県立大学の学生等との交流がとても楽しかったといったような声もあったことから、eスポーツが高齢者の社会参加の促進や生きがいづくり、健康増進にも効果があると考えております。
県といたしましては、これらの成果を踏まえ、今年度、県内全域で高齢者団体の申込みによりeスポーツ体験会を実施し、その中で、高齢者と子供たちを交えた多世代での交流を促進しております。特に10月をワクワクとやまシニアeスポーツ月間に設定し、eスポーツ体験会を各地域で集中的に開催するとともに、10月末にはとやま健康パークにおいて、多世代を参加対象としたeスポーツイベントを実施しており、その取組がケーブルテレビなどで紹介されたところです。
eスポーツ体験会実施に対する高齢者団体からの申込みも多く、高齢者の関心が高まっていると実感しており、今後、通いの場などでの取組の1つとして普及されていくものと期待しております。
103 吉田委員 eスポーツを体験した高齢者からは、楽しかったとか、またプレーしたいという感想も多かったということも聞いておりますけれども、どうかぜひ高齢者の通いの場の活性化、それからまた、参加意欲、こういうことを向上させるようなことを期待しておりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
次にまいります。
収益性の高い園芸産地の育成についてお伺いをいたします。本県では園芸生産の拡大を目指し、平成22年度から取り組んできた1億円産地づくりによるJAの戦略品目の大規模生産の推進や、呉羽梨やチューリップの球根生産などの地域の特徴を生かした多様な園芸産地の育成に取り組んでおります。こうした取組によりまして、1億円産地づくりの販売額は取組前の平成21年度の4.8億円から、令和3年度には13.1億円と約3倍に増加し、園芸産出額は平成21年の71億円から令和2年には93億円に増加するなど、大規模産地の育成や販売額の増加が図られてきております。
一方で、米の需要減少など、主食用米から非主食用米への転換面積が拡大しており、一層の園芸生産の拡大が必要でありますが、園芸産地においては生産者の高齢化や労働力不足による作付の減少、近年の気象変動による収量や品質が不安定であるなどの課題もあります。このため、園芸生産振興にさらなる強化が必要と考えられますが、園芸振興に係る令和3年度の取組、これまでの成果と課題を踏まえ、今後どのように収益性の高い園芸産地や経営体の育成に取り組むのか、堀口農林水産部長にお伺いをいたします。
104 堀口農林水産部長 園芸振興につきましては、委員御紹介のとおり1億円産地づくりによる大規模産地育成などを進めてきております。令和3年度では、5産地への省力機械の導入や、就農希望者が栽培技術を研修するスマート園芸施設の整備などに支援も行いました。こうした取組により、御紹介のとおり販売額が増加するなどの成果も見られたところでございます。
一方で、一部の園芸品目では収穫、選別作業等の労働力が確保できず、規模拡大がなかなか進まないといった課題もございます。昨年度は農業支援サービスを活用した新たな労働力確保の実証も行ったところですが、タマネギの収穫等で有効性が確認できたものの、多品目を組み合わせた広域的な利用体系構築の必要性なども明らかとなりました。また、排水不良や病害虫により目標収量の確保が難しいこと、また、高齢化等により作付面積、生産量が減少している産地もあるといった課題も残されております。
こうした成果や課題を踏まえまして、今年度から新たに、稼げるとやまの園芸産地づくりに取り組んでおります。具体的には、市町村が主体となりまして、呉羽梨など地域で振興している作物を含めて、産地ごとに生産拡大プランを策定いたしまして、産地を牽引するリーディング経営体の育成、就農希望者を対象とした研修会や就農時の機械の貸出しなどの産地における受入れ体制づくり、農業支援サービスを広域的に活用した労働力確保、水田の畑地化、汎用化による生産性の向上などの取組を積極的に支援することとしております。
引き続き市町村や農業団体等と連携いたしまして、収益性の高い園芸生産、経営体の育成に取り組んでまいります。
105 吉田委員 まだまだ農業産出額に占める米の比率は全国一高いわけでございます。米価の停滞だとか米需要の減退、こういった環境は大変厳しさを増しているわけですけれども、とにかく新たな高収益作物を導入することで米の依存度を下げて、収益を拡大することがやっぱり喫緊の課題であると思いますので、野菜を中心とした園芸生産になるかと思いますけれども、ぜひ頑張って取り組んでいただきたいと思っております。
次にまいります。
氷見栽培漁業センターについてお伺いをいたします。日本は四方を海で囲まれております。水産物は重要な食料として利用されておりますけれども、報道で報じられているとおり全国的にはサケ、サンマ、スルメイカの不漁が続いております。富山県沿岸におきましても、昭和58年の4万2,000トンをピークにして、令和2年には1万7,000トンに減少しております。海洋環境の変化などが要因として考えられております。
そこで、持続可能な漁業を推進するためには、過度な漁獲の制限のほか、稚魚を放流して水産資源を増加させる栽培漁業がますます重要であり、昨年は
氷見栽培漁業センターで生産したクロダイ16万尾とクルマエビ52万尾が富山湾に放流されるなど、今後の展開が期待されているところでございます。また、水産資源や海洋環境について学習する場も重要であり、これまで県水産研究所では、小学生を対象とした夏休みの子ども科学研究室や社会見学など、令和3年度において年間386人を受け入れた実績があると承知しております。
このような中、先月に改修が完了した
氷見栽培漁業センターが来年春には本格オープンされ、一般来場者の受入れを開始するとのことでありますが、栽培漁業の推進や、新たに整備した教育、産業観光の機能も含め、今後どのように活用していくのか、堀口農林水産部長にお伺いをいたします。
106 堀口農林水産部長
氷見栽培漁業センターにつきましては、令和2年度から教育、産業観光の機能を併せ持つ施設として再整備を進め、先月22日に竣工式、併せて見学会を行ったところであり、御来賓や漁業関係者をはじめ地元自治会や小学生など多くの方々に御参加もいただきました。
整備した施設は、生産管理の効率化と種苗の安定供給を目的に、新たにICTを活用した飼育水温のモニタリングシステム、飼育水の削減と病気発生リスクを低減する半循環飼育システムを導入しております。来年5月にはクロダイの種苗生産を開始することとし、現在、産卵する親魚の育成等を行っているところであり、これまでの16万尾から26万尾への増産、放流を図ることとしております。
また、高校生等が実習に活用できる飼育水槽を設置しており、この施設を活用し、地元の氷見高校生が磯焼け対策のために駆除したウニの肥育試験を行っていますほか、稚魚に触れたり餌やりを体験できるプールや水槽、栽培漁業について学べる展示室などを活用いたしまして、氷見市内の小学生等の社会見学受入れも始めております。
来春には県民や一般観光客への開放を予定しておりまして、地元氷見市とも連携しながら、PR用のビデオの作成や受入れ体制づくり等を進めております。県内外の多くの方々に訪れていただき、本県が進める栽培漁業などについて楽しみながら体感し、理解を深めていただきたいと考えております。今後、
氷見栽培漁業センターの機能を最大限活用して、栽培漁業の理解増進と持続可能な漁業を推進してまいります。
107 吉田委員 楽しみながらと言われましたけれども、本当に楽しみながら、こういった栽培漁業の推進をしていただきたいと思います。特にやはり地元氷見市等との連携した効果的な誘客、これが大事であろうかと思います。
滑川の栽培漁業センター、それから氷見の栽培漁業センターと、今この2か所でやっているわけでありますけれども、新たな栽培漁業の魚種の生産とか、いろいろなことにチャレンジをしていっていただきたいと思います。
それでは、次にまいりたいと思います。
建材CLTの利用促進についてお伺いをいたします。CLT──直交集成材、集成板というか、木の板を繊維方向が直角に交わるようにして重ねて接着した厚みのある大型パネルですが、これは壁や床、それから屋根など幅広く使われる建築材料で、軽くて耐震性に優れていることから中高層の大型建築物にも使うことが可能であります。
国では、木材需要の拡大につながるということからCLTの活用促進に取り組んでおり、昨年度までに全国で800件近い施工実績があり、また、CLTは木材を大量に使用することに加え、コンクリートや鉄に比べて製造時の二酸化炭素排出量が少ないために、その活用を進めることはグリーントランスフォーメーション──GXや、2050年カーボンニュートラルの実現にも大いに貢献すると考えております。
県内の人工林資源は本格的な利用期を迎えており、県産材の一層の需要拡大を図るために、CLTを普及促進することは大変有用と考えられますが、これまでの利用促進の取組や県内での活用実績を踏まえ、今後さらなる利用促進に向けどのように取り組んでいくのか、堀口農林水産部長にお伺いをいたします。
108 堀口農林水産部長 CLTは板材を貼り合わせた耐震性や耐火性にも優れた木製パネルで、主に中規模、大規模建築物の壁や床、屋根に使用され、工場製品のため工期の短縮にもつながるものです。委員から御紹介ありましたとおり、国のほうでも積極的に普及促進に取り組んでおりまして、令和3年度末までに全国で約800件の活用事例もございます。県におきましても、これまで設計者を対象としたセミナーや具体的な建築物の設計相談会の開催など、CLTの普及に努めてきたところです。
これまでの活用状況につきましては、CLTを構造材として初めて使用した県立大学学生会館が平成31年3月に完成したほか、昨年度はウイスキー熟成庫など民間で3件が建築され、県内の実績は累計で8件となっております。さらに、現在民間企業では北陸初となる6階から7階建ての木造集合住宅の建築が計画されるなど、徐々に活用事例が増えてきております。
しかしながら、設計者等におけるCLTをはじめとした木材利用への理解は必ずしも高くないといった課題もあります。県いとたしましては、引き続き木造建築に関する知識、技術を有する人材の育成に向け研修会を開催するとともに、国の支援制度や、昨年10月に改正されました木材利用促進法なども踏まえまして、民間施設でのさらなる利用を促すほか、とやま県産材需給情報センターと連携いたしまして、県産材の安定供給に努めていきたいと考えております。
本格的な利用期を迎えた森林資源の循環利用を図るため、CLTの利用促進など県産材の需要拡大にしっかり取り組んでまいります。
109 吉田委員 ひとつよろしくお願いしたいと思います。CLTの工場が全国で8か所と聞いておるわけですが、お隣の石川県能美市には1か所あると。だけれども、富山県にはまだない状況ですので、こういったCLT工場が建てば、また違ってくると思うので、まず工場誘致も含めて、拡充に努めていただきたいと思います。
では、次へまいります。
次に、いじめ、不登校対策についてお伺いをいたします。本県の小中学校で2021年度に不登校だった児童生徒は2,256人となり、前年度に比べ391人も多く、過去最多となりました。今回の調査で学校側が挙げた不登校の要因は無気力、不安が最も多く、半数を占めました。文科省は、このコロナ禍の影響により学校活動が制限され、登校意欲が低下したことなどが考えられるとし、また、新型コロナの流行が繰り返される中、修学旅行や遠足、運動会、文化祭などの中止が相次いだことや、給食を黙って食べる黙食や部活動の自粛など、日々の学校生活も制約され、こうした環境変化が子供たちの心身に影響を及ぼしたことが考えられるとしております。
また、いじめなどコロナ禍以外の要因も考えられ、担任や保健教諭、スクールカウンセラーは子供一人一人に寄り添った対応に努めておりますけれども、やはり不十分と言わざるを得ません。そこで、まだ続くこのコロナ禍の中で、本県のいじめ、不登校に対する教育相談体制の充実に向け、令和3年度の実績と課題も踏まえ、今後どのように取り組むのか荻布教育長にお伺いをいたします。
110 荻布教育長 県教育委員会では、いじめや不登校などについては県内の全ての小中学校と高校の拠点校に配置しているスクールカウンセラーや、教育相談の専任教員として中学校に配置しているカウンセリング指導員を、国事業を活用して毎年拡充をし、教育相談体制の充実に努めているところでございます。各学校では児童生徒にSOSの出し方教育を積極的に実施いたしますとともに、日頃から相談しやすい雰囲気づくりに努め、きめ細かな対応に努めております。
また、子供のSOSについては、サインを見逃さず早期に適切な対応につなげられるよう、今年度は教員を対象に子供のSOSの受け止め方をテーマとした研修を実施するなど、教職員の資質向上を図り、担任、養護教諭、スクールカウンセラーなども含め組織で対応するように努めているところです。
令和3年度の相談件数ですが、スクールカウンセラーが受けた相談件数は延べ約4万2,000件であり、また、総合教育センターで対応している24時間相談電話の相談処理件数は延べ約800件となっております。近年では、子供が抱える不安や背景が多様化、複雑化しております。そうした状況から、ほかの専門機関とも連携しながら、より早期の対応、そして、さらなる体制強化をはかっていくことが必要だと考えております。
県教育委員会としては、まずはスクールカウンセラーなどの配置拡充について、今後も国に強く要望をしてまいりますとともに、子供の変化に関する情報をより広く適切にキャッチできるよう、学校と保護者の情報共有体制のさらなる強化を図るよう学校だけでなくPTAにも働きかけるなど、子供の不安や悩みへの早期対応ができるよう、教育相談体制のさらなる充実に取り組んでまいりたいと考えております。
111 吉田委員 ひとつよろしくお願いいたします。
また、近年は不登校の児童生徒に対し登校を強いるような指導は見られなくなり、フリースクールなどの受皿も拡大をしております。2017年に施行されました教育機会確保法は、不登校の児童生徒の休養の必要性を認め、学校以外での学習を国や自治体が支援すると明記しました。不登校の子供たちの学びを支え、進学や就職の希望がかなうような環境づくりが重要ですが、今後どのように取り組むのか、荻布教育長にお伺いします。
112 荻布教育長 不登校児童生徒への支援については、学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が主体的に自らの進路を捉えて、社会的に自立していくことを目指す必要があると考えております。このため、一人一人の状況に応じて学校外の教育支援センターなどの公的機関やフリースクールなどの民間施設とも連携をして、多様な教育機会を確保する必要があると考えております。
県教育委員会では、学校、市町の教育支援センター、民間施設の代表者による不登校児童生徒支援協議会を令和2年度より設置をしておりまして、不登校児童生徒の適切な支援や児童生徒の社会的自立に向けたよりよい連携の在り方について検討をしております。また、市町村教育委員会や校長会に対しては、民間施設と学校とで積極的に情報共有を図ること、また、児童生徒の出席の取扱いについては実態に応じて柔軟に対応することを伝えてきております。
今後、県教育委員会としては、児童生徒の状況に応じた学びの場が広く確保できるよう、市町村教育委員会や学校に対し、県内の民間施設に関する情報提供や、オンライン配信などICTを活用した学習支援や面談の事例を広く紹介するなど、不登校児童生徒の学びを支えるための支援の充実を図っていきたいと考えております。また、不登校児童生徒支援協議会においては、保護者や複数の民間施設などからも一層幅広く意見を伺いながら、より子供の実態に応じた適切な支援の在り方について協議をしていきたいと考えております。
引き続き市町村教育委員会や学校、PTA、学校外の様々な機関と連携をして、一人一人の子供に合った支援の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
113 吉田委員 最後になりますが、自殺対策についてお伺いしたいと思います。時間があまりありませんが、特に自殺対策で、いろんな問題を抱える女性の自殺者が2年連続で増加しているということに対してどう対応するか、課題等を踏まえて、今後の自殺対策、特に女性の自殺対策にどのように取り組んでいくか、
有賀厚生部長にお伺いします。短めに、ひとつよろしくお願いします。
114
有賀厚生部長 自殺の原因、動機の男女別データはないんですけれども、全体では健康問題、家族問題、経済・生活問題の順に多く、原因を特定できない事例も増加しているところでございます。このため、自殺対策に取り組む民間団体や市町村等と連携しながら、幅広い内容の相談にきめ細かく対応できる体制づくりが必要であると考えております。
これまで県ではこころの電話や、検索連動広告による窓口の周知、ゲートキーパー養成研修などの体制整備に努めてきたわけです。また、民間団体と連携して、特にコロナ禍で孤独孤立状態にあり、不安を抱える女性に対して女子サロンの開催やカウンセラーによる専門相談など支援に取り組むとともに、DVに関する相談窓口の一覧カードを作成、配布し、周知を図っているところです。県としては、関係団体と連携しながら、様々な困難や課題を抱える女性に寄り添ったきめ細かい相談支援体制づくりを進めていきたいと考えております。
115 吉田委員 最後に、若者の自殺者もG7の中では日本が一番トップというのは非常に不名誉な話でございますが、特にやっぱりこういった小中高生の自殺者を防止する意味でこれは大事だろうと思います。そこで、SNSなどをいろいろ活用した相談体制もさることながら、来年発足するこども家庭庁とも連携することも必要であると思いますけれども、誰もが自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して、本県は子供や若者の自殺対策にどのように取り組んでいくか、新田知事にお伺いします。
116 新田知事 先日も県内で中学生の自殺があったところです。心からお悔やみを申し上げます。
子供や若者の自殺の背景には、学校や家庭、交友関係、また、3年続くコロナの影響など様々な要因があると考えます。こうした自殺リスク要因に対応するために、富山県こころの電話での精神保健福祉士や保健師などの有資格者による相談を昨年度から24時間365日対応と拡充をしたところです。また、デジタル広告を活用しまして、一定のワードが入りますと相談窓口をお知らせするアプリも導入しております。さらに、心の健康センターでは、保健所、厚生センターや市町村などの関係機関に専門的な技術指導を行うほか、連絡会議や研修会を開催し、連携して自殺対策を進めています。
また、富山県子ども・若者総合相談センターにおいて、ニートや引きこもり、不登校など、社会生活を営む上での困難を有する子供や若者からの相談にも対応しております。電話や来所による相談に加えまして、今年度からSNSを活用した相談対応も始めています。
今後も、県や保健所、厚生センターでの取組だけではなく、市町村、教育機関、民間団体などと幅広く連携をしまして、誰もが自殺に追い込まれることのない富山県の実現を目指して、効果的な自殺予防対策に取り組んでまいります。
117 武田副委員長 吉田委員の質疑は、以上で終了しました。
118
五十嵐委員長 奥野委員、あなたの持ち時間は40分であります。
119 奥野委員 令和3年度、改めて振り返りますと、激動の1年だったなと、こんなふうに思います。新型コロナウイルスがはやり始めた令和2年度は、国内外の様々な工場や流通機関が機能せず、供給量が大幅に減ったことで大きな混乱を招きました。需要も冷え込み、資材価格の高騰は限定的でありましたけれども、その後、供給機能が十分に回復しない中、コロナ禍の反動で需要が急拡大し、建築資材の価格高騰が顕著となりました。
特に令和2年11月頃から鉄筋、鉄骨といった代表的な鋼材で価格高騰が目立ち始めます。鉄鋼新聞によりますと、鋼材の価格は令和2年9月を基準とすると、令和4年1月までの1年5か月余り、およそ1年半で44.1%上昇しています。また、令和3年3月頃からは、いわゆるウッドショックが起きて、住宅の柱やはり、土台に使う木材の需給が逼迫し、価格が高騰いたしました。
日本銀行の企業物価指数によりますと、建設用木製品の価格は令和2年9月に比べて、令和4年1月時点では73.5%値上がりしています。さらに、労務単価も年々上昇し続けています。現在も資材の高騰は続いておりまして、建設業協会や土木、建設業者の皆さんからは、公共事業において入札時に積算した額から実際の資材調達までの間の上昇分について、適正な増額変更を求める声が我が自民党議員会に届いています。
また、労務単価の上昇を受け、建設業界以外の様々な団体からも、実勢価格を反映し、適切な価格での業務発注となるよう強い要望を受けているところであります。まずは、議論の前提となる決算書上だけでは詳細が分からない計数について、順に確認をしていきたいと思っています。
まずは、令和3年度の土木工事や建築工事、設計業務における変更契約の件数と、過去の推移などから見た特徴について土木部長に伺います。
120
市井土木部長 土木部が令和3年度に締結した契約のうち、令和3年度中、または繰越しの手続等を経て次年度の令和4年度に変更契約を行った件数は、令和4年11月22日現在、土木工事では1,299件、建築工事では58件、設計業務では289件となっております。また、5年前の平成29年度から一昨年度、令和2年度までの各年度における変更契約件数については、土木工事では1,189件から1,470件、建築工事では63件から71件、設計業務では318件から390件の範囲内で推移しております。
このように、件数についてはばらつきが生じており、また、年度ごとの全契約件数にもばらつきがあることから、件数から見た特徴ではございませんが、まず土木工事については、近年、契約全数の90%超の工事において契約を変更しております。その理由としては、土木工事では地中の不可視部の施工を含む工事のように、実際の工事現場の状況や自然的、人為的施工条件が発注時の設計図書と異なっている工事が多いことによるものと考えています。
次に、建築工事についても土木工事と同じ理由による変更が多いものと考えておりますが、全数に占める変更契約件数の割合については、発注時に施工条件が予見しづらい工事件数の年度ごとの多寡などもございまして、40%から60%とばらつきが生じております。
さらに、設計業務については、その前提条件となる地形、地質など自然条件や、関係機関との協議調整など人為的条件の変更を受けて、構造形式を変更するものなどが多い状況です。また、全数に占める変更契約件数の割合は60%から70%程度となっております。
121 奥野委員 割合については、また後ほど確認をしていきたいと思っています。
次に、指定管理施設の指定管理料や本庁、総合
庁舎の施設管理業務について伺います。
令和3年度は労務単価の上昇に加え、コロナ禍により開館時間の短縮や一時的な閉館を余儀なくされたケース、職員の新型コロナ感染を想定した人員の確保、また、利用料収入を委託費に含む場合は、利用者の減少による不足分が生じるケースもあったと想定されます。
指定管理施設や本庁、総合
庁舎も同様に、施設管理料の取扱いについては、発注者側である県も、また、受注者側も非常に頭を悩ませたと思いますけれども、契約年度途中であっても、想定を大幅に超える社会情勢の変化があった際には、契約内容を適切に見直すことが必要と考えます。令和3年度の施設管理業務における変更件数と、過去の推移などから見た特徴について、経営管理部長に伺います。
122 岡本経営管理部長 まず、指定管理施設について御答弁申し上げます。令和3年度における指定管理施設の指定管理料につきましては、全60施設のうち35施設について変更を行ったところでございます。令和2年度は37施設、令和元年度は49施設、平成30年度は26施設、平成29年度は19施設について変更をしているところでございます。
過去5年間を平均しますと約33施設となりますけれども、近年の傾向としては、令和3年度及び令和2年度につきましては、今ほど委員の御指摘のとおり新型コロナへの対応のためによる変更、令和元年度につきましては消費税の経過措置に伴う対応のため、変更実績が平均より多かったという結果が出ているところでございます。
次に、本庁、総合
庁舎の施設管理業務についてお答えをいたします。令和3年度における施設管理業務につきましては、全34件のうち4件で変更を行ったところでございます。令和2年度は全36件のうち4件、令和元年度は全36件のうち15件、平成30年度は38件のうち1件、平成29年度は全39件のうち1件で変更しているところでございます。令和元年度は指定管理料と同様、消費税率の変更によるものであり、変更件数が多いという特色がございましたが、例年はさほど多くないと認識しているところでございます。
123 奥野委員 さて、先ほど土木工事や建築工事、設計業務における令和3年度の変更契約の件数について伺いました。割合も先ほど御答弁の中に含まれておりましたけれども、改めて、これは全体の契約数のうちどの程度の割合になるのか、過去の推移と併せて確認をしたいと思います。
124
市井土木部長 土木部が令和3年度中に締結した契約件数に対し、変更契約件数が占める割合については、まず、土木工事では93.5%、次に建築工事では52.7%、次に設計業務では64.4%となっております。
同じく5年前の平成29年度から令和2年度までの各年度における契約件数の全数に占める契約変更件数の割合については、まず土木工事ではいずれの年度も90%を超えており、91.3%から95.3%、次に、建築工事では42.8%から64.2%、また、設計業務では62.6%から71.8%で推移しているところでございます。
125 奥野委員 先ほども今ほども御答弁を伺うと、特に土木工事の変更契約の割合が9割を超えている。これは、しかもコロナ禍以前から続いているということについては大変驚いています。必要があれば変更するのは当然でありますし、先ほど部長の御答弁の中には、現場に出てみないと予期しないものがあると、こういうことも理解をしておりますけれども、やはり9割を超えているという現状については、これはもう元から変更ありきの契約と取られても仕方がないようにも思います。
他県や県内市町村のほかの現状も調査して、数値が乖離しているようであれば、なぜこんなに現場に出たときに変更が必要なのかという原因も明らかにした上で、改善しなくてはならないのではないかと思います。ちなみに、参考までに富山市に伺いましたら、大体5割程度、5割超というのが平均的な数字でありました。ほかのところはまだ聞いておりませんけれども、原因を明らかにした上で、改善が必要であればしっかりと行っていただきたいと思います。
また、県の直接管理ではない、指定管理施設の指定管理料における令和3年度の変更割合と過去の推移について、経営管理部長に伺います。
126 岡本経営管理部長 令和3年度における指定管理施設の指定管理料については、指定管理施設60施設のうち35施設、約58%において指定管理料の変更を行っているところでございます。5年前まで遡りますと、令和2年度で約62%、令和元年度は約82%、平成30年度は約43%、平成29年度は約32%の施設において変更を行ったところでございます。
127 奥野委員 続いて、施設管理業務についても伺いたいと思います。
主な施設管理業務は、本庁はもとより総合
庁舎においても、例えば清掃業務であるとか、電気設備保守点検業務などがあるかと思います。特に清掃業務については、コロナ禍にあって、不特定多数が利用するトイレの掃除、また、多くの人が触れるドアノブや扉の消毒、また、ごみの回収についてもこれまで以上に十分な対策と細やかな気配りが求められるようになったと思います。さらに、感染者が確認された場所での業務は、通常業務とはまた異なるものだったのではないかなと、こんなふうに認識しています。
これら施設管理業務における分野別の令和3年度変更契約の割合と過去の推移について、経営管理部長に伺います。
128 岡本経営管理部長 本庁、総合
庁舎の施設管理業務は多岐にわたっておりまして、それを主な業務で分けるとすれば、清掃、警備、設備保守──これは電気とか空調でございます、その他衛生環境維持に分けることができるものでございます。
先ほど本庁、総合
庁舎の施設管理業務における令和3年度の変更契約は、全体の契約が34件でございますが、変更は4件と申し上げたところでございますが、この変更契約の4件の内訳でございます。設備保守に係るものが全体の15件のうち3件で20%、その他が全9件のうち1件で──これは樹木管理、環境でございまして、11%。なお、清掃や警備につきましては、変更はゼロとなっているところでございます。
また、過去5年の推移を見てみますと、変更契約をしたものだけを申し上げますと、清掃では令和2年度に全3件のうち1件で33%、令和元年度に全3件のうち2件で66%。警備につきましては、令和元年度で全7件のうち1件で14%。設備保守につきましては、令和2年度に全17件のうち3件で18%、元年度に全17件のうち10件で59%、平成30年度に全18件のうち1件で6%、29年度に全20件のうち1件で5%。その他は令和元年度に全9件に2件ということで22%となっているところでございます。
129 奥野委員 今ほどのこういう施設管理業務については、契約件数自体少ないわけでありますけれども、ほかの分野と比較すると、先ほど土木工事なんぞありましたけれども、やはり圧倒的に変更契約の割合が少ないなと、こんな印象を受けます。
特に気になるのは、先ほども触れた例えば清掃業務であります。昨年度変更がなかっただけではなくて、コロナ禍の初年度であった一昨年度についても、こういう新型コロナ対応によっては変更がなかったと聞いています。清掃の現場では、感染者が出た場合の代替スタッフの確保に加えて、感染リスクから敬遠されがちで人材確保が困難だったということも聞いていますし、また、感染予防対策の備品、また、使用する薬剤等の値上がりもあって、現場は随分苦慮したということを聞いています。こういう業界団体から寄せられる意見と今ほどの報告を聞く限り、これは改善が必要だと思っています。
先ほど変更契約の件数やその割合など、令和3年度の状況を確認しましたけれども、冒頭申し上げましたとおり、やはり令和3年度というのがどういう年だったかというと、新型コロナ対応や資材高騰、こういうもので社会情勢が大変不安定だったと認識しています。そこで、新型コロナを理由とした増額変更、また、資材高騰による増額変更、こういうものの件数がどれだけあったのか、さらには、変更全体に占める新型コロナや資材高騰を理由とした変更の割合がどれだけだったのかということについて、改めて次に、土木部長に聞きたいと思います。
130
市井土木部長 令和3年度に発注し、変更契約を行った工事等のうち、まず土木工事については、新型コロナの感染対策費用を増額変更したものが1件、資材価格の高騰により増額変更したものが5件、合わせて6件となっており、変更契約全体の1,299件に対し0.5%の割合となっています。
一方、建築工事や設計業務については、新型コロナへの対応や資材高騰などの社会的要因により増額変更を行ったものはございません。
なお、増額変更ではございませんが、新型コロナへの対応や資材高騰などの社会的要因を原因とする遅延、例えば、作業員等の感染による遅延や機器、材料の納期の遅れに対し工期の延長等も行っており、土木工事と建築工事でそれぞれ7件、合計14件の工事の工期延期を、設計業務では4件の業務の履行期限延長を行っているところでございます。
131 奥野委員 今ほどの答弁で、やはり私は驚いています。土木工事、建築工事、設計業務について新型コロナ対応、いわゆる直接の新型コロナ対応による増額変更が少ないということは理解できるのでありますけれども、冒頭からずっと述べているとおり、資材高騰が著しい年であったわけです。この資材高騰による増額変更が、はっきり言って土木工事は1,299分の5、0.4%で、建築や設計についてはゼロ件、ゼロ%、こういう状況を鑑みると、やはり業界団体から資材価格の高騰分を適正に反映してほしいという要望が出るのはもっともだなと感じます。資材高騰分が本当に適正に反映されていたのかということについても、これは懸念を持っています。
先ほど触れましたとおり鉄鋼新聞によりますと、毎月のように様々な資材価格が急激な値上がりをしていまして、県が入札のために積算した日から業者が入札価格を積算した日、また、入札日、契約日、そして、実際に資材を購入した日までの間に、みるみる価格が変動していったはずです。
国の単品スライド条項については、以前から業界団体からは、適用基準が厳しくて実態に即していないという指摘もされています。ただ、先月から運用ルールが改定されましたので、例えば購入価格が適当と示す証明書類を提出した場合には、契約時より実際の購入価格のほうが高くても、変更後の単価として請負代金額を変更することができると、こんなようになったと聞いています。
このルール改定でどの程度改善が図られるのかということについては、先月から適用されたばかりですのでこれからですけれども、今年度の残りは、適用されましたので、価格の高騰分を適切に反映できるように努めていただきたいと思っています。
次に、指定管理施設の指定管理料や本庁、総合
庁舎の施設管理業務における令和3年度の変更契約のうち、新型コロナ対応や資材高騰といった社会要因を理由とした増額変更の件数、また、変更全体に占める割合がどうだったのかということについて、経営管理部長に伺います。
132 岡本経営管理部長 まず、指定管理施設ですが、令和3年度における指定管理料の変更を行った35施設のうち、新型コロナへの対応を理由として増額変更を行った施設は33施設あり、変更全体に占める割合は9割以上となっているところでございます。なお、令和3年度にはその他の社会的要因、例えば資材高騰などを事由とした増額変更の実績はないところでございます。これは、指定管理施設の指定管理料の積算の特有なものだと御理解いただきたいと思います。
次に、本庁、総合
庁舎の施設管理業務における変更契約でございますが4件ございまして、主な理由は、冷暖房における契約時間外の臨時業務による変更が2件、エレベーターなど管理対象の撤去に伴う数量の変更によるものが2件でございまして、新型コロナへの対応や資材高騰などの社会的要因を理由とした増額変更の実績はないところでございます。これも、施設の維持管理の積算上の特有なものと理解をしております。
133 奥野委員 今ほど御答弁あったとおり、指定管理料についてはコロナ禍において──先ほどもちょっと触れましたけれども、利用料収入が著しく減少したことへの補填であったり、新型コロナ対応のための備品の購入であったり、いろんな要因を基に契約が一定程度適正に変更されているのだろうと、こんなふうに捉えています。
一方で、いろんな積算の難しさというものがあろうかと思いますけれども、施設管理業務については数量の変更ということはありましたけれども、ごく一部の施設のみということであります。ここについても、しっかり現場の実情と即していたのかどうかということについては、また確認をいただきたいと思っています。
土木分野においては国土交通省が標準歩掛を定めておりまして、物価の変動に基づく契約変更の仕組みも一定程度確立されているものと認識しています。さらに、先ほども触れましたとおり、急激な物価変動に対応できる仕組みも導入されたばかりということであります。
ただ、一方で指定管理料や施設管理の業務委託については、実際の物価上昇や労務単価の上昇分が十分に反映されるように改善してほしいという声が業界団体からはずっと出ています。いろんな積算基準があって難しいという話もありましたけれども、指定管理料や施設管理業務の業務委託において、本県ではどのような基準や考え方で適正な価格転嫁をしているのか、経営管理部長に伺います。
134 岡本経営管理部長 まず、指定管理施設の指定管理料の変更でございますが、これにつきましては指定管理者制度の運用に関するガイドラインというものを定めておりまして、このガイドラインに沿いまして、施設運営に重大な影響を与えるような物価変動があった場合、天災、人災等の大規模災害その他県または指定管理者のいずれの責めにも帰すことのできない自然的または人為的な現象のうち、通常の予見可能な範囲外のものが発生した場合などにおいて、その影響額を過去の実績との比較などにより適正に算定した上で、県と指定管理者が協議をして決定をしてきているところでございます。
また、施設管理業務のほうでございますが、施設管理業務の業務委託料の変更については、これは業務委託の契約書の中で定めておりまして、経済情勢の変動その他の事情変更により委託料が著しく不適当となった場合や委託内容に変更を生じた場合に、発注者及び受注者が協議の上、契約を変更してきているところでございます。
135 奥野委員 仕様書であるとか、その協議の内容というものについてもしっかりと、私は検証が必要だと思っています。県民福祉の増進や公の業務遂行の観点から現下の社会情勢を踏まえて、公の施設や本
庁舎などの施設管理を安定的かつ十分な水準を保つために、やはり適正な公募額、発注額の設定が重要だと思っています。
なぜ仕様書であったり、その協議内容──どういう協議がなされたかという検証が必要なのかと思っているかといいますと、例えば清掃業務です。社会情勢を踏まえた契約年度内の変更がなされていないということは先ほども確認したわけですけれども、私が調査したところによりますと、そもそも国が積算根拠とすべきと示している清掃業務の労務単価が長年使われていない、そして、年々労務単価が上昇しています。すなわち人件費が上昇しているわけでありますけれども、こういうものや、先ほども触れたとおり物価高騰の影響が全く反映されていないということです。
詳しく申し上げますと、本県では、国の基準を照らし合わせますと、最寄りの新潟県の基準を採用することになっておりますけれども、例えば清掃員Cとかといって3段階に労務単価が設定されております。一番安い清掃員Cで見ると、平成24年にはこの労務単価が6,900円だったものが、令和4年には1万円にまで上昇しています。これは10年の間に1.45倍、45%の上昇率になっています。ところが、県の業務発注額というのを、これはすべからく調査をしてもらって、聞き取りの調査も含めてして確認してみますと、県の業務発注はこの10年間で平均して1%程度しか上がっていません。
これは、本庁舎や総合
庁舎の施設管理に係る委託業務を発注する際には、国の労務単価を基準にするのはもちろんでありますけれども、前年度の契約額とか、こういうものにとらわれずに、現下の賃金水準を反映させるなど、実勢価格を考慮して発注額を設定していくということが必要だと思っています。今後どのように取り組んでいくのか、知事に伺います。
136 新田知事 本
庁舎、あるいは総合
庁舎の施設管理業務に係る委託についてですが、これまでも仕様に合わせて人件費、各種経費など積み上げて予定価格を設定し、指名競争入札を基本として、予定価格の範囲内で一番低い額を提示した者と契約を行ってきました。普通のことです。
これまでの入札では、施設管理の質の確保や業者の健全な経営を阻害するような極端に低い価格での応札、あるいは、逆に指名業者が軒並み予定価格を上回るような応札をした事例は見受けられません。また、指定管理者制度によって管理を行っている公の施設についても、適切な価格で設計し、契約してきたものと認識しています。
近年、物価や人件費が上昇していまして、国からも改めて自治体における発注に際し、適切な対応を依頼されているところです。具体的には、予定価格の適切な設定として、可能な限り最新の労務単価などを適切に反映することとされていまして、今後、県内の労務単価の実勢や他県の対応状況などを踏まえて、適切な予定価格の設定に努めてまいります。
また、公の施設の指定管理料についても、県が定めるガイドラインに基づいて、施設の性格や業務内容、社会経済情勢の変化などを十分考慮の上、適切に算定してまいります。
137 奥野委員 今ほど知事から、適切に算定していくとの答弁がありましたので、令和5年度からは適切な算定がなされるのだろうと期待をしておりますけれども、今ほど申し上げたとおり、そもそも適切な算定が行われていなかった事例が県内の業務発注の中にあるということを私は申し上げたわけでありまして、これまで適正にやってきています、今も適正で、これからも適正にやりますという答弁は、これはちょっと違うのでないかなと思っています。
先ほど申し上げましたけれども、国が示しているこの労務単価によれば、本来、例えば清掃業務とかであれば、大体この45%ぐらい契約額が上がっていないとおかしいわけです。民間ではみんな上がっていて、民間の契約額とこの公共の発注額の差、格差が広がってきているということが、これは団体からも指摘をされています。このままいくと、この公の仕事をするのはとにかく業者側に負担が大き過ぎる、本当にこれ、無理してやるべきなのかというような話にもつながると思います。
今ほど申し上げましたとおり、まずこういう国の基準の算定が使われていなかった、適正に発注額が設定されていなかった事例があるということについて、きちんと認識をしておられるのかどうか、改めて知事に伺いたいと思います。
138 新田知事 先ほどお答えしたとおりでございますが、私どもとしては、極端に低い価格での応札、あるいは軒並み予定価格を上回るような応札をした事例は見受けられないと、そういう事象を見まして、民間の業者さんも様々なことをお考えになられて、このような応札をしておられるんだと理解するしかありませんが、今ほどそういう御指摘をいただいたので、今後は注意深く見てまいりたいと思います。
139 奥野委員 はい、お願いしたいと思います。確かに予定額を大幅に下回ったり、大幅に上回ったりすることがなかったというのは、結果でありますけれども、これはそもそもの予定価格が適正だった場合についてでありますので、今私が指摘したのは、この予定額がそもそも、この積算が適正だったのかということの問題意識でありますので、これはまた注意深く確認をいただいて、令和5年度改めていただきたいと思います。
このほか契約関係で改善が必要だと思っているものに、土木工事や建築工事の設計業務があります。これは複数の業界関係者の方から、契約後に当初想定していなかった内容について検討を依頼されるケースが増えてきているという声が寄せられています。
これは、資材価格の高騰によって、契約発注後に使用する予定の建築資材を変更したい──高いとか、手に入らないとか、こういうので変更したいなどの申出があった場合、設計側はまず調達できる資材が何かということを確認したり、その資材の性能であったり、構造計算といった様々な観点から代替が可能かどうかということを確認しなければなりません。しかも、場合によってはほぼ設計をゼロからやり直すような作業になることもあるということであります。
こういった作業が契約書上、仕様書上では曖昧になっていて、増額変更に至らずに、自治体によっては──県がとはあえては言いませんけれども、受注者側が泣き寝入りをしているケースもあると聞いています。東京都など先進的な自治体では業務内容を明確に定めて、追加業務となる場合は適切な増額変更をするとなっています。
発注者側のほうが受注者側よりも優位な立場になっていたという時代もあったと思います。でも、これからは契約内容をベースに対等な立場であるべきだと思います。しかも、発注者側が優位な立場で、受注者に変更について、これは最初の契約額の範囲内であれもこれも全部やってくれみたいな強要があったり、不当な扱いがあったりすれば、これは訴訟のリスクにもつながると感じます。
土木工事や建築工事の設計業務についても、業務内容の変更や追加作業に伴う増額契約に柔軟に対応していくべきだと思います。土木部長の所見を伺います。
140
市井土木部長 設計業務は、自然条件や工事目的物の構造や設計条件を踏まえ、経済性や施工性、関係する住民や機関との協議や関連する他業務との調整等を経て履行する必要がございます。このため、県ではこうした調整状況や基本的な設計条件等の前提条件を特記仕様書に明示した上で業務を発注し、契約時に受発注者間で互いに確認しているところです。
委員お尋ねの業務内容の変更については、地形、地質などの自然的条件や関係者との調整状況などの人為的条件などの前提条件に変更が生じた場合や、当初契約時には予見できなかった資材の高騰等に伴い、建築物の規模や仕様に大幅な見直しが生ずる場合など、受注者の責に帰さない事項が確認されたときには、変更の対象として協議を行い、対応しているところでございます。
県では、こうした設計業務の変更についての考え方を土木設計業務等変更ガイドラインとして取りまとめ、変更契約事務が円滑かつ適切に進められるよう、行政等の発注者や業界団体に周知しているところでございます。
また、建築工事の設計業務においても、国の建築設計業務等変更ガイドライン案を参考に、追加業務による増額や工期の延長の契約変更を行っております。今後とも円滑な業務遂行のために、発注時の設計条件の明示や適切な変更設計に努めてまいります。
141 奥野委員 適切な明示という回答もございましたので、ぜひともそのように努めていただきたいと思います。
県は
中小企業支援に大変力を入れてきていると思います。例えばですけれども、ここまでも
中小企業支援について、いわゆるゼロゼロ融資とか借換えの支援も含めて多額の予算をずっと計上してきたと思います。でも、まずは県が発注する業務の発注額を適正にするということが大前提、イの一番の支援ではないかと思います。今年度の残りであったり、先ほども申し上げました令和5年度、改善を求めまして、質問を終わりたいと思います。
142
五十嵐委員長 奥野委員の質疑は以上で終了しました。
以上をもって本日の総括質疑は全て終了いたしました。
終わりに、本委員会の運営に終始御協力を賜りました議員各位、県当局並びに報道関係の各位に対し、深く敬意を表します。
これをもって本日の決算特別委員会を閉会いたします。
お疲れさまでした。
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